カウントダウンスタート ページ34
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真っ青な空の下で、見た後ろ姿はAの背中だった。
バッティングケージで、球を打ち返すA
彼女を一言で言うなら、器用
でも、他の人から見たら不器用なのかもしれない。
(もう何日も、実戦でそのフォーム見てないや。)
自分が傷つかないように
周りに悟られないように
それって簡単なようにみえて、凄く難しいこと。
ケージから出てきたAに水を渡す。
菊「休憩したら?」
『そうします』
水を流し込んだAは、俺の横に座った。
.
『キクさんって、33番、って感じしますよね』
Aの言動は、予測できない。
今だって、唐突にそんなこと言う。
他人の目は気にしないし、気まぐれだし
(俺も人のこと振り回すけど、)俺以上に人のこと振り回すし
それに付き合うのにあきれたり、疲れたりするけど。
それでもみんな、彼女に惹かれてしまう。
菊「ほんと、訳わかんね‥笑」
『私、緒方監督みたいな選手になりたかったんです』
(いや、聞いてないけど笑笑)
なんて思うけど、彼女の言葉は、声は、耳に入ってきちゃうんだよな。
菊「なんで?」
『“試合が終われば、ユニフォームが真っ黒な選手でありたいと思っていた”』
『あの言葉を聞いたとき、私もそんな選手になりたいと思った』
その横顔は、見たことないくらい真剣だった。
『“気がつけばそのユニフォームが汚れなくなり、走ることも守ることも思うようなプレーが
できなくなり、引退を決意しました”』
『まだ、ユニフォームが真っ黒になるほど試合に出てもないのに何言ってんだ、って感じですよね』
菊「若僧が何言ってんだよー」
冗談っぽく言うことしかできなかった。
菊「Aも監督みたいに、強くてかっこいい選手になれよ」
笑顔で頷いたAが、嘘でありませんように。
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理彩(プロフ) - 花蓮@carploveさん» ありがとうございます。伝わってよかったです(*^^*) (2018年7月14日 21時) (レス) id: 7805605240 (このIDを非表示/違反報告)
花蓮@carplove(プロフ) - 連載お疲れ様でした!夢主ちゃんのやりきれない焦燥感や焦りの描写がすごくて…ついつい感情移入して泣きそうになることも度々ありました…新作も楽しみにしてます! (2018年7月14日 20時) (レス) id: 9ae88586f0 (このIDを非表示/違反報告)
ファンタオレンジ(プロフ) - 途中で、ピースサインの歌詞入ってて、びっくりしました!!笑笑 (2018年6月29日 17時) (レス) id: 50dccbc662 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:理彩 | 作成日時:2018年6月24日 17時