少し恋して、長く愛して

試行錯誤 ページ18

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「桃瀬、」

横で一緒に歩いてたAは、ピクリと反応して足を止めた。
ちょっとだけ、その横顔はひきつって見えた。



『‥はい、』

「二日酔いか」


ヘッドコーチの渡利さん。







「情けない」
低い声で、Aを一喝した渡利さんはスルリと横をすり抜けた。







渡利さんは、野球に対して真っ直ぐで少し厳しい人。




そして、NPBで女性選手がプレーするのを、認めてへん人。









「A、行くで」

Aはそれが分かっているから、渡利さんが苦手らしい。
俺も苦手ではあるけど、いつも不振に陥ると的確なアドバイスをくれる。
俺の、野球人生を助けてくれる人。






今だって、すっかり足が固まってしまったみたいやし。





「気にしてもしょうがないやん」

『、っうん』


ちょっと冷たい言い方やったかな、って思っても
彼女は笑うだけ。


せやから、いつもごめんって言うタイミング失ってしまう。








昨日の坂本さんの言葉が、頭によぎる。

調子が良いのに出させてもらえないのが、チームの考えで、チームのせいだとしたら、






坂本さんはどうするんやろか。






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