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バレンタイン7 ページ19
防音室を出た私達に残ったのは
ショコラフェスの賑やかな観客の声だけだった
廊下をあんず先輩と並んで歩く
私達の影が廊下に長く伸びている
「…真緒くんにあげるやつ?」
私の紙袋を覗きながら指を刺す先輩
夕陽に透けた髪の毛がキラキラと輝いていた
「そうですよ」
「両方とも?」
そう、私は一応衣更先輩にも手作りを作っていた
しかしまだ手作りをあげる決心はできずにいた
「…いえ、買った方を」
そう言うと先輩は足を止めた
先輩? と振り返る
先輩の表情は逆光で見えなかった
「…渡してあげてよ、彼女の手作りチョコ」
先輩の声からは何も感じられなかった
ただただ言葉だけが並べられていた
「……喜ぶと、思うからさ」
「……わかりました」
そう返事をするとあんず先輩は
少し小走りでこちらに駆け寄ってきて
休憩時間終わっちゃうね、いこう!と
少し強引に手を引っ張った
私よりも一歩前に出て表情は見せない
本当に、なんて強い人なのだろう
私は一生この人には及ばない
先輩の背中を追いかけながらそう思った
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作者名:琴音 | 作成日時:2019年12月14日 19時