Cosmonaut (ページ4)

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パイプ椅子に腕を組んで座り下を向いている、十中八九寝ている校長。

珍しく真面目に聞いている一昨年入ってきたばかりの担任。

生徒を見るも、どうやら『目は口ほどに物を言う』とはいささか間違いではないようだ。
みな言わないがやっと終わったと顔に書いてある。

今度は大きなため息が出そうになったその時、ふと体育館の一番奥の方。
生徒が体育館に入ってくる出入り口のドアの横にスーツ姿の男性と、同い年くらいの男子生徒が見えた。

スーツ姿の男性の横には我が校の教頭が常についており、いろいろと説明しているようだった。
田舎なのであまり目にすることは多くはないが、あの状況は大抵転校してきたのだろう。

多分父親である男性の服装は、見るからに高そうなスーツ。
腕にはキラッと光る時計のようなものが見える。
ここら辺の父親世代のスーツは、大抵が作業服だ。

また、腕に時計なんて小洒落たものはつけていない。
大抵は腹時計頼りで、よく腹時計が仕事をしなくなり遅刻をかますこともしばしばだ。

男子生徒は制服は当校の指定の学ランではあるが、髪のセットをきちんとしているところに目がいく。
当校の男子生徒は、ほとんどが坊主か短髪。
髪を伸ばしたりセットしたりするものはほんのひと握りだ。

それらを踏まえて、転校生は都心部の方からきたのだろうと簡単に予想ができた。

こんなところに珍しいというか、可哀想というか。
興味はあるがどうせ生徒会長ということで挨拶はするだろうと考え、Aは転校生から視線を外す。

一応ちゃんとした式典の場であるので、頭を下げ、心の中で1.2.3と数えてから頭を上げる。

2年の半ば、生徒会長になってはじめての式典の前日に担任から死ぬほど叩き込まれた記憶は新しい。
結局、普段使わない筋肉を使ったせいか、次の日は筋肉痛でいつも以上にひどく歪な礼となってしまった。