Cosmonaut (ページ3)

今日:2 hit、昨日:4 hit、合計:2,893 hit

。ページ3

スピーチは原稿用紙2枚分という担任からのノルマが課されたせいで、いやでも長くなってしまう。

1分でもいいから早く終わらせて、ハゲた校長の話に移りたい。
壇上を降りてしまえば湊は聴く側だ。

Aは生徒会長ではあるが、世間的によく聞くザ・真面目タイプではない。
私生活では普通の生徒と変わりない。
言ってしまえば、普通の生徒より問題児に部類される機会の方が多い。

なぜそんな生徒が生徒会長なのかはA自身も不思議である。
だが生徒会長となれば教師ともコミュニケーションが取れ、生徒とも信頼関係を築ける者が適任だろう。
Aが生徒会長なのは、一言で言えば人望が厚いからである。

「＿＿＿成長の一年となるよう願って、一学期始業式の挨拶とします。
生徒会長、新海 A」

ながながと続いたスピーチも、よくあるテンプレのような締めで終わらせる。

スピーチの原稿を考えていないこと昨夜思い出した結果、インターネットから見つけたスピーチを丸写しにしたのだから、まさにテンプレだ。
実際真面目に聞いている人間はゼロに等しいのだから、何ら問題ないだろう。

原稿用紙をもともと入れていた封筒へ入れ胸ポケットにしまい、肩の力が抜けほっと一息つく。

お辞儀をするため、ずっと原稿用紙に向けていた視線を前に向けると、おのずと体育館全体が見渡せる。