Cosmonaut (ページ2)

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「今日から新しい学校生活がスタートします。生徒の皆さん一人一人が___」

短かった春休みも終わり、春の暖かさとは裏腹に憂鬱な始業式が始まる。

体育館の外は暖かい風が吹き、新しい生活のスタートを祝福してくれているかのようだ。だが、体育館内の空気はみなどこか憂鬱な雰囲気で充満し、お世辞にも爽やかとは言い難い。

みな昨日までの休みが抜け切らず頭が回っていないようだ。
それに拍車をかけるように、明日からまた学校生活が始まるという現実に打ちひしがれている。

ドがつくほどの田舎の高校で、全校生徒は50人にも満たない。そんな極小高校の始業式の風景。

始業式特有の生徒会長のスピーチをするため、一応壇上に立ってはいるが当然のことながら誰も聞いていない。

友達と話している者。
半分夢の中へ旅立ってる者。
どこを見ているのかわからない者。

3年生徒会長・新海 Aは気づかれないよう、スピーチの合間に小さくため息を吐く。

正直、こっちが話しているんだから少しぐらい聞いてくれても良いのではないかと愚痴が溢れそうだ。

ただ自分が聞く立場なら、間違いなく友達と話して、スピーチが終わるのを今か今かと待ち侘びていたに違いない。
話す側と聴く側。
どちらの立場の心境もわかるため、少々複雑だ。