太宰、中也、十五歳 7 ページ10
蘆花side
少し悩んだ素振りをして森さんが口を開いた
森「太宰君。君が望むのなら、楽になれる薬品を都合してあげてもいい」
そう言いながら森さんが出した紙片を見て、顔を歪める。
治「本当?」
その言葉に治の目が少しだけ輝く。
大丈夫かな。
そのうち詐欺にあったりしそう。
森「その代わり、ちょっとした調査を頼みたい」
先程の紙片に羽ペンでさらさらと文字を書きながら云う
森「何、大した仕事じゃあない。危険もない。だが君にしか頼めない」
治「うさんくさっ」
治がじと目で森さんを見る。
危険が無い…ね。
森「横浜租界の近くにある、擂鉢街は知っているね?」
それを無視して森さんが話を続ける
森「その付近で最近、ある人物が現れたという噂が流布している。その噂の真相を調査してきて欲しい。
____これは『銀の託宣』と呼ばれる権利委譲書だ。
これを見せればマフィアの構成員は何でも云うことを聞く。好きに使い給え」
治が差し出された紙片と森の顔を順繰りに見て云った。
治「ある人物って?」
森「蘆花君。」
わかっているんだろうとでも言いたげな視線を受けて、少し息をついたあと、口を開く
「…ポートマフィアの最高権力者が気にするほどの捨て置けない噂。
かつ、『銀の託宣』を使うほどまでということは、重大なのは人物ではなく噂そのもの。
真相を確かめて発生源を潰さなければならない噂。流布するだけで害をなす噂。
あと、付け加えるのであれば専門家や優秀な部下たちではなく私達を使うのは周りに知られてはならないから。
ここから導き出される人物は…1人」
治「…先代の首領か」
森「その通り」
治の言葉に重々しげに頷く森さん
森「世の中には、墓から起き上がってはいけない人間が存在する。あの御方の死は私がこの手で確認し、盛大な弔いもしたのだからね」
森さんが自分の指先を触った。
あのとき、私達の目の前で森さんが
私は___治をここにつれてきて本当に良かったのだろうか。
きっと治は___。
治「__え__ん。姉さん。行こう」
治が思考の渦に沈んでいた私を現実世界へと引き上げる。
「…そうね。」
その言葉に森さんが眉をピクリと動かす。
断るとでも思っていたのだろうか。
だとしたら森さんは、私に対してどんな評価を抱いているのかが些か気になるところだ
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Wolf @ 元フェアリー(プロフ) - できれば別のブラウザというのを教えて頂きたいです。 (10月10日 21時) (レス) @page41 id: ebc545326a (このIDを非表示/違反報告)
Rio*(プロフ) - すみません。別のブラウザというのは..... (10月7日 18時) (レス) @page41 id: 31d091d700 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:命 | 作成日時:2022年11月9日 17時