【文スト】太宰治の義理の姉【青の時代】 (ページ25)

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太宰、中也、十五歳２１ページ25

蘆花side

森｢さあ。どうだろうね。…最適解は思い浮かんでいるけれどね｣

最適解…ね

終焉がわかってしまう私にとって一番近くて遠いもの。

森｢却説、蘭堂君でも呼ぼうかね｣

ふと、森さんがそう呟いて携帯電話を操作し始める

｢…そうですか。なら、首領室のほうがいいのでは？｣

ここに呼び出されても困るだろう。

しかもここはポートマフィアの中でも北側に位置する部屋。

寒がりの蘭堂さんには、あまりにも酷だ。

森｢まさか。｣

そこで言葉を切り、わざとらしく肩をすくめながら続ける

森｢蘭堂君が来るまではここにいるよ。君のことだ。彼が暴れても対策方法も持っているのだろうし…それに体術だけでも十分福沢殿と張り合える君がただの少年に負けるとは思わないね｣

パタンと携帯電話を閉じて森さんが云う

…怪我人だがな。

そんな毒をそっと押し込めて代わりの言葉を吐く。

｢買いかぶり過ぎです。あのときはあちらの状況が悪かっただけですし、どちらとも命を取る心算はなかった。最初からの命の奪い合いだったら負けてました｣

本当にそうだった。

あちらが人を庇っていなければ。

あちらが本気で私の命を取ろうとしていれば。

きっとどの要素がかけても私は負けていただろう。

森｢私はそうは思わないがね。｣

｢…客観的に見たら。の話でしょう。これ以上は無駄になりますよ｣

本人と第三者では感覚は違う。

一生この話は終わらなくなる。

森｢そうだねぇ。辞めておこう。｣

森さんが云い、静寂が場を包む。

やっと黙った森さんを横目に私は、治の顔にかかっていた髪の毛をサラリと払う。

普段右目に巻かれている包帯が取り払われ、あどけない表情で寝ている治は、年相応で可愛らしかった。

少し痛みからか顰められ、皺が少し浮かんでいるその眉間をそっと撫でると少しだけ穏やかな表情に戻る。

森｢…ああ。太宰君の右腕、ヒビが入りかけているから一応石膏帯(ギプス)で腕、固定しておくように。｣

ここにおいておくからね。

と、先程までの一連の動作を一言も発さずに見ていた森さんが云う。

｢他の怪我は｣

森｢口内がちょこっと切れていたけれどすぐに治るよ。あ、ちなみに今日は太宰君も起きないだろうからこの部屋使っていいよ｣

すべて織り込み済みなくせにいけしゃあしゃあと。

口に出しかけてそれは自分もだったと口を噤む。