太宰、中也、十五歳 19 ページ23
蘆花side
擂鉢街の中心近くで、巨大な爆発が起こっていた。
ただの爆発ではない。
一帯を飲み込む巨大な熱火球だ。
治の体を離さないようにギュッと抱きしめながら、
散る枯れ葉のように吹き飛ばされた私達は、回転する視界の向こうにそれを見た。
赤く輝く1対の眼。
死と暴力が何十年分も刻み込まれた皺。
白い頭髪。
黒い炎の中でも平然と、むしろ炎を外套のように纏って、地獄の主のように立っている。
その姿は
蘆,治「___先代__!」
私達は叫んだ。
その台詞が炎に飲み込まれ
__治の身体からカクンと力が抜けた。
それをもう一度しっかりと抱きしめ直し、爆発で傷が付いた足で、炎の外へと向かう。
途中、気絶した広津さんと中原中也君を影の中に引きずり込み、走る。
なるべく遠くへ、被害の少ない方へ。
気絶は、脳の血流が瞬間的に滞り、機能が一時的に停止すること。
気絶の条件に痛みが関係していない限り、私がいつ気絶してしまうかわからない以上、急ぐべきだ。
遠くへ。
遠くへ。
そう願い、足を進め、擂鉢街からそう遠くないポートマフィアの本部まで戻ってきたところで私の視界は、暗転した。
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Wolf @ 元フェアリー(プロフ) - できれば別のブラウザというのを教えて頂きたいです。 (10月10日 21時) (レス) @page41 id: ebc545326a (このIDを非表示/違反報告)
Rio*(プロフ) - すみません。別のブラウザというのは..... (10月7日 18時) (レス) @page41 id: 31d091d700 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:命 | 作成日時:2022年11月9日 17時