9話 ページ9
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有無を言わさず車に乗せられ、抵抗する術もなく連行されたホテルのベッドの上、両手首を頭上で押さえつけられた私は神に十字を切っていた。急募:助け
「なんであんな所におったん？」
「せ、先輩こそ…なんでここにいるんですか」
「話逸らすな」
鋭い眼光にヒュッと心臓が3個ほど潰れた気がした。というよりどうして私がこんなに怒られなきゃいけないのか！
「知り合いちゃうよな？隣におった男」
「は、はい…初対面です」
何年経ってもトントン先輩に従順な私は先輩の質問にペラペラと勝手に口が動き、どう見てもキレ散らかしているその顔に冷や汗が止まらない。
「なんでなん？Aってそんなことするやつちゃうかったやろ」
「ひ、っ…せんぱ、まって…！」
するりとスカートの中に入った手はツーっと太ももを撫で、尚もその瞳に射抜かれている私は身じろぎも出来ず、ただその感覚を受け止める他なかった。
私は困惑していた。
太ももを滑る手の感覚は先程の居酒屋での出来事と同じはずなのに、相手がトントン先輩と言うだけでそれは私の中で心臓を痛いほど高鳴らせた。
久々の感覚。忘れていたあの頃の甘い痛みが頭をよぎる。
「………変わらへんねんな、その顔」
「…ずっと同じ顔ですもん」
「へぇ…最初にその顔させたんは誰やったっけ？」
荒々しく奪われた唇。割って入ってきた舌に肩が跳ねるも、絡め取られた舌に抵抗を諦めた。
「おかしいなぁ、俺Aにこんなエ ロいキス教えた覚えないねんけどなぁ…」
「ひ、日々成長がモットーなので、」
「誰に教えてもろたん？言うてみ？」
.
「………先輩じゃ、ない人、」
そう言った私に覆いかぶさった先輩に、当時の優しさの面影はどこにもなかった。それなのに、私の腰を撫でる手や、不意に見せる愛しげな眼差しはあの頃を彷彿とさせ、私の心を掻き乱した。
まさか、夢にまで見た先輩との初めてがこんなタイミングだなんて。
お互いあの頃の気持ちには触れないまま、トントン先輩の動きに合わせ本当に自分のものなのかと疑うような吐息と嬌声が口から漏れて唇を噛み締める。
忘れたい、なんて偉そうな事を言っていたのは誰だったっけ。
事が終わり、なにも言及することなく私を抱き締めるトントン先輩の腕の中、ちっとも成長してない自分に自己嫌悪で押しつぶされそうだった。
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夢月(プロフ) - 心臓がギュンってなりました対ありでした、、、 (2022年9月10日 6時) (
レス) @page17 id: 93204524cb (このIDを非表示/違反報告)
ニコチンキッド - とても好きすぎてスマホ叩きわりました (2022年6月28日 23時) (レス) @page17 id: 5ea514a864 (このIDを非表示/違反報告)
))k(( - めちゃくちゃに好きな神作品…っ (2022年3月12日 22時) (レス) @page17 id: 871e1d6cc0 (このIDを非表示/違反報告)
ラビット_(プロフ) - かなり前に完結済みの作品様ですが、コメント失礼致します。わー！めっちゃ好きです！リクエストで申し訳ないんですけど、夢主ちゃんと付き合ってた時の紫の後輩くんのこととか知りたいです…！この作品一気にお気に入りになりました…もう好きです… (2021年7月10日 20時) (レス) id: bc77977d93 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 以前の作品にコメント失礼します。前作から一気に拝見させて頂きました。切ないストーリーだけど、それだけじゃなくクスッと笑える部分も多く、高校卒業後のすれ違いが最高に好きでした…。本当にこれ以上の作品に出会える気がしません；； (2021年5月23日 8時) (レス) id: 6c6ea452a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2020年2月4日 23時
