煌（６） ページ7
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｢あ。そっか、ここで委員会してたんだっけ｣
私に向けて言ったと言うより独り言のようにそう呟く木兎先輩。部活を抜けて来たのか青いTシャツ一枚で教卓の前の一番前から二番目の席へ一直線に向かっていく。
額にも首筋にも汗が浮いている木兎先輩が教室へ入ってきた途端なんだか熱気を感じたものの、その熱源が果たして木兎先輩のものなのか自分が発熱しているのかはもう今の私に考える余地は無かった。けれど木兎先輩の席は教卓から二列目、と頭にインプットさせる余地はちゃっかりあった。
｢ん、でも一人？他のやつらは？｣
｢あ。えっと…もう終わって、私は、これ、書く係で、｣
初めて疑問形で尋ねられたそれはどう考えてもこの場に人間が私しかいないことから私に向けて発されていると0.5秒で判断し、舌がもつれそうになりながらぽつぽつと言葉を返す。
私の言葉にへぇーと感心したように声を漏らした木兎先輩は｢一年なのに大変だなぁ｣とゴソゴソと探っていた机から汗ふきシートを引っ張り出しながらそう言った。
｢あ、の。木兎先輩、｣
｢ん？俺のことしってんの？｣
｢知ってます！応援、させてもらってます｣
｢そうなんだ！ありがと〜、また試合見に来てよ｣
ニコニコと私を見ながら表情を崩さない木兎先輩。
ちりりと懐かしい痛みが胸を刺激する。これは、悔しい痛みだ。
その崩れない表情から出る社交辞令のような定型文を受け取り私は唇を噛む。見ず知らずの一年が自分を知っていることにも試合を見に来ていることにもひとつの驚きも焦りも見せない木兎先輩に、心のモヤが広がった。
広がったそれは、私に口を開かせる。
｢……木兎、先輩｣
｢ん？｣
｢私、木兎先輩のこと、好きです。最初に試合見たときから｣
｢………、｣
発された私の言葉に引き上げていた口角をしゅるしゅると収縮させた木兎先輩はじっと私を見据えたまま何も言わない。返事なんて貰えるとも思ってなかったから、別に良かった。
ただ目の前の表情を崩したい、それだけだった。
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みんみん(プロフ) - ゆららさんのお話、とても大好きです！楽しくってキュンとしながら読ませて頂きました！！ (4月18日 9時) (
レス) @page47 id: 708a20f575 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ - 木兎さん最強でした……普段コメントしませんが、思わず感想をお伝えしたくなりました…！めちゃくちゃキュンとしました！！ (2022年7月22日 2時) (レス) @page47 id: 448a7aaf1d (このIDを非表示/違反報告)
rry - ハイキューをテーマにした3作品読ませていただきました！全部最高で星10です！ (2021年11月14日 22時) (レス) id: 7243f08c85 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - 天羽さん» 天羽様初めまして！何度も読み返して頂き光栄です…！完結までもう暫くお付き合い頂ければ幸いです！コメントありがとうございました( ´ ` *) (2021年8月17日 12時) (レス) id: 4397bbbd69 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - 紅月。さん» 紅月様はじめまして！糖分増し増しで頑張っていきますのでこれからもご贔屓にお願いします( ´ ` *)コメントありがとうございました！ (2021年8月17日 12時) (レス) id: 4397bbbd69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2021年7月10日 20時
