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煌(44) ページ45

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思えば周りに人がいる時間に木兎先輩と帰宅するのはあのテスト期間以来じゃないかと考える。
『木兎光太郎の隣にいる子誰?彼女?』という近頃忘れかけていたそんな疑問に満ちた視線を感じてぎこちなくそれから目を逸らした。


部活動用のエナメルの持ち手を頭に乗っけながら後ろ手に手を組む木兎先輩は同じ制服を着た道行く人たちをぼんやりと目で追っている。

その間私たちを通り越したサッカー部の先輩とマネージャーの女の先輩が楽しげに前を歩くのを見て先輩たちは大胆だなぁ、なんて他人事でその後ろ姿を目で追っていると。

ぽつりと、木兎先輩が口を開いた。


「…あれ、隣のクラスのやつ」

「あ…そうなんですね、?」

「教室でもよくくっついてんだよ」

「あはは。そんな感じしますね」


仲睦まじげに歩く姿を捉えながらそう言うと、また難しい顔をし始めるので私も首を傾げる。

あまりああいうやり取りを見るのが好きではないのだろうか。木兎先輩のことだから『羨ましい!』なんて思考になりそうなものだけど、やっぱり恋愛となるとどこか身を引いている部分があるのかもしれない。


そんなことを考えていれば木兎先輩は少しの間を置いて、徐に私へと向き直った。


「なぁA」

「はい?」

「俺もAと付き合いたい」

「はい…、はい?」

「昨日ぎゅってしたとき思ったんだよ!俺もAに触りたい!」

「さわ、…えぇ?言い方考えてください…」

「なぁA、…」


くる、と大きな瞳が揺れる。
窺うように顔を覗き込み、木兎先輩は小さく呟く。


「俺のこと好き…?」

「…好き、です」

「俺もAが好き!だから俺の彼女になって」

「……、……」


あまりの衝撃に私の口からは一切音が出なくて無意味に口をぱくぱくと開閉させることしか出来ず、そのかわりにひとつ頷いた。


同時、『恋愛から身を引いている』は全くの見当違いだったことに完全に力が抜け、それなら最初から木兎先輩は私をそういう括りに入れてくれていたのかとここに来て初めて実感が湧き、滲んだ涙で視界がぼやけた。

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みんみん(プロフ) - ゆららさんのお話、とても大好きです!楽しくってキュンとしながら読ませて頂きました!! (4月18日 9時) (レス) @page47 id: 708a20f575 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ - 木兎さん最強でした……普段コメントしませんが、思わず感想をお伝えしたくなりました…!めちゃくちゃキュンとしました!! (2022年7月22日 2時) (レス) @page47 id: 448a7aaf1d (このIDを非表示/違反報告)
rry - ハイキューをテーマにした3作品読ませていただきました!全部最高で星10です! (2021年11月14日 22時) (レス) id: 7243f08c85 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - 天羽さん» 天羽様初めまして!何度も読み返して頂き光栄です…!完結までもう暫くお付き合い頂ければ幸いです!コメントありがとうございました( ´ ` *) (2021年8月17日 12時) (レス) id: 4397bbbd69 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - 紅月。さん» 紅月様はじめまして!糖分増し増しで頑張っていきますのでこれからもご贔屓にお願いします( ´ ` *)コメントありがとうございました! (2021年8月17日 12時) (レス) id: 4397bbbd69 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆらら | 作成日時:2021年7月10日 20時

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