煌（４３） ページ44
.
明けた月曜。
試合後の貴重な部活のオフ日を『自主練してくる！』に費やすらしい木兎先輩からのメッセージにスタンプで返して携帯を伏せる。
すっかり木兎先輩を待って一緒に帰る流れが定着しているのか以前まで一緒に帰っていた友人は｢じゃまた明日〜｣と私を残してさっさと帰っていき、私は一人教室で暇を持て余していた。
とはいえ今日は本当なら男バレはオフで、いつも使っている第一体育館は今日は他の部に明け渡しているはず。
それならどこで？と考えているとまた細かく振動を刻む携帯。傾ければ木兎先輩からの返信で、『外あちぃ！あかあしがAも来いって言ってる』と知らないところで怒涛の展開が広がっている。
暑いならやです、と返そうとしたところでまた追加のメッセージが飛んでくる。
『会いたいからはやくきて』
｢っ…もう…！｣
ずるくないか！と心の中で憤慨しながらバタバタと荷物をまとめて『すぐ行きます』と返し教室を飛び出した。
.
｢──お！来たなA！｣
｢木兎先輩。赤葦先輩もお疲れ様です｣
体育館とグラウンドの間のちょっとした空間で行われていた自主練。
こんな狭いとこで木兎先輩平気かな、と見ればやはり豪快にスパイクを打ちたいのかその手がわきわきしていた。
｢呼び出してごめん。…木兎さん、ここだとすぐやる気無くすから｣
コソッと耳打ちしに来た赤葦先輩の言葉になるほどと理解する。
赤葦先輩の呼び出しにはそういう意図が、とどこまでも木兎先輩ありきな考え方に流石この癖のあるキャプテンを支える副部長だと感嘆した。
それから体育館へと続く石階段に腰を落ち着けて二人のラリーを眺めていた。
時折ちらちらとこちらを窺っては赤葦先輩に｢木兎さん。集中してください｣と窘められている様はどうにも面白かった。
そしていつもの終了時刻より一時間ほど早く切り上げ、着替えに行った木兎先輩が戻ってくる気配に顔を上げて、また顔を顰める。
｢……だからもう、ボタン！目のやり場に困ります！｣
｢？見ればいーじゃん｣
｢そういう問題じゃ無いです！もう、こっち来てください｣
そう言うと嬉しげに口角を上げる木兎先輩。
こういう所、この人は頭を使ってくるからタチが悪い。
部活終了時刻故に帰宅する他の生徒の視線が刺さるものの、木兎先輩のインナー越しの胸筋がいつまでも私の視界にいる方がよっぽど刺さる、と心を無にしてボタンを閉める作業に入る。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 205人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みんみん(プロフ) - ゆららさんのお話、とても大好きです！楽しくってキュンとしながら読ませて頂きました！！ (4月18日 9時) (
レス) @page47 id: 708a20f575 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ - 木兎さん最強でした……普段コメントしませんが、思わず感想をお伝えしたくなりました…！めちゃくちゃキュンとしました！！ (2022年7月22日 2時) (レス) @page47 id: 448a7aaf1d (このIDを非表示/違反報告)
rry - ハイキューをテーマにした3作品読ませていただきました！全部最高で星10です！ (2021年11月14日 22時) (レス) id: 7243f08c85 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - 天羽さん» 天羽様初めまして！何度も読み返して頂き光栄です…！完結までもう暫くお付き合い頂ければ幸いです！コメントありがとうございました( ´ ` *) (2021年8月17日 12時) (レス) id: 4397bbbd69 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - 紅月。さん» 紅月様はじめまして！糖分増し増しで頑張っていきますのでこれからもご贔屓にお願いします( ´ ` *)コメントありがとうございました！ (2021年8月17日 12時) (レス) id: 4397bbbd69 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆらら
| 作成日時：2021年7月10日 20時
