煌（４２） ページ43
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扉から正面のこの位置にいて正解だった、と好きな人の試合後の勇ましすぎる姿を文字通り一番に視界に入れて胸が詰まった。
──あぁもう、どうしてそんなにかっこいいの。
逆光でよく見えなかった木兎先輩の顔がこちらへ近づく度段々とはっきり輪郭を帯びる。
いつも通りの、高揚を抑えきれていないそれだった。
｢木兎先ぱ、っ！｣
｢勝った！｣
身体に纏う試合後の熱と汗の二つが近づいてきたと思えば、無言の末に引き寄せられる背中。
あ、と反応する間もなく次の瞬間には木兎先輩の分厚い腕の中だった。
楽しげに勝利の余韻を振りまいているその人を前にしてぴしりと固まる私。
｢……A？うれしくねーの？｣
｢へ、あ、う…れしい、ですけど、｣
好きな人の割増の体温に当てられ平常通りに振る舞える人がいるものか。
全くなんでもないように私を胸に押し付けながら不安げな声を漏らす木兎先輩にやっとの事で反応を返す。首か顎か、頭上から滴った木兎先輩の汗がぽたりと私の頬に落ちる。
｢っ！え！？A泣いてんの！？｣
｢泣いてないです！…って言うか汗だくじゃないですか！タオルは！？ちゃんと拭いてください！｣
｢タオル…？なぁ雪っぺ俺のタオル知らねー！？｣
振り返り叫ぶ木兎先輩にマネさん含めた先輩達は一斉に｢知らねーよ！｣と事も無げに返した。
そもそも試合が終わった瞬間の木兎先輩のこの行動になんの驚きもしていない事に流石木兎先輩と時間を過ごしているだけあるなとある種感心した。
木兎先輩のタオルは行方不明らしいので仕方がないからハンカチを取り出す。背伸びの末、未だ汗の滴るこめかみを押さえれば、制服のボタンを閉めた時のように大人しくなる木兎先輩。これは『拭いてくれ』と言われているのだと察す。
ほんとにこの人は！と頭を抱えたい心境だけど私が木兎先輩の頼みを断れるはずもない。そっと形のいい胸に手を置き身体を支えながら、また背伸びをした。
｢…もう。自分でやってください｣
木兎先輩は背中を向けてますけど、実はみんな見てますよ、と小さく指摘すれば。
｢………、ユーエツカン！｣
｢意味分かって言ってます？｣
また木葉先輩の入れ知恵か、似合わない単語を発する木兎先輩に眉を寄せればぎくりと固まるのでふ、と笑みが零れた。
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みんみん(プロフ) - ゆららさんのお話、とても大好きです！楽しくってキュンとしながら読ませて頂きました！！ (4月18日 9時) (
レス) @page47 id: 708a20f575 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ - 木兎さん最強でした……普段コメントしませんが、思わず感想をお伝えしたくなりました…！めちゃくちゃキュンとしました！！ (2022年7月22日 2時) (レス) @page47 id: 448a7aaf1d (このIDを非表示/違反報告)
rry - ハイキューをテーマにした3作品読ませていただきました！全部最高で星10です！ (2021年11月14日 22時) (レス) id: 7243f08c85 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - 天羽さん» 天羽様初めまして！何度も読み返して頂き光栄です…！完結までもう暫くお付き合い頂ければ幸いです！コメントありがとうございました( ´ ` *) (2021年8月17日 12時) (レス) id: 4397bbbd69 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - 紅月。さん» 紅月様はじめまして！糖分増し増しで頑張っていきますのでこれからもご贔屓にお願いします( ´ ` *)コメントありがとうございました！ (2021年8月17日 12時) (レス) id: 4397bbbd69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2021年7月10日 20時
