煌（４１） ページ42
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試合のある日に家にいるのはどうにも落ち着かない。
今日が試合だと家で話していた事もあり、いつもならもう家を出ているはずの娘がまだリビングに居ることにお母さんは目を丸くして｢別れたの？｣と言うから飲んでいた麦茶が噎せ返りそうになった。誤解を解くのは今度でいいかとそのまま勘違いさせておくことにする。
移動中だろうか、いつもの朝練のときより少し遅めの時間に届いたメッセージは『勝ってAんとこ行くから待ってろ』という旨が熱く語られていて口元が綻んだ。
…今まで見てきた試合の勝率は八割が勝ちだったけど、今回はどっちに転ぶか。
返信を考えつつ手にした携帯をぎゅっと握る。家にいる方が心が休まらないなとざわつく胸の内に長い息を吐き出した。
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ロビーに会場内を映すモニターでもあれば私も定刻通りに会場へ向かっていたけれど、如何せん大きくない会場故にそういったものは無く。けれどやっぱり家にいてもそわそわと落ち着かなくて、ついにいても立っても居られず予定より大幅に早い時刻に家を飛び出してバスに乗り込んだ。
会場の最寄りで降りると久々の見知った空気と緊張感がやってくる。──今ここで、木兎先輩は戦いの真っ最中。
自動ドアから中へ入り体育館の中の喧騒が薄らと耳に入ると、それに立ち会えないのはやっぱり寂しくぽっかり空いた心に小さくも重たい喪失感を覚えた。
ロビーの中の人は疎らにぽつぽつといるくらいで木兎先輩の言うように知らない人に声をかけられるなんて事にはならないだろう。心配性な顔を思い浮かべればふふ、と笑いが込み上げる。
と、通りすがりの人の話し声から｢梟谷二セット目落としたってよ｣と聞こえぴくりと固まる。
…落とした？一セット目は？木兎先輩は？と一気に脳内は嵐のように様々な思いが渦巻きどくどくと心臓が嫌な音を立てる。
あぁ。自分の目で確認しに行けないことのなんともどかしいことか。
───歯がゆく唇を噛んでその場にしゃがみこむ。祈るような気持ちでそうしていながら何分経っただろうか。
途切れ途切れに聞こえていた体育館内の喧騒が一際大きくなった瞬間はっと現実に戻る。
力の入らない足を踏ん張り立ち上がって、どっち…？と口から飛び出しそうな心臓を押さえつける。
じっと、体育館へ続く扉を見つめていた。
焦らすような数分の間の後、ギィ、と重厚なそれがゆっくりと開かれて、体育館の光の逆光を背に立つ木兎先輩が視界に入る。
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みんみん(プロフ) - ゆららさんのお話、とても大好きです！楽しくってキュンとしながら読ませて頂きました！！ (4月18日 9時) (
レス) @page47 id: 708a20f575 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ - 木兎さん最強でした……普段コメントしませんが、思わず感想をお伝えしたくなりました…！めちゃくちゃキュンとしました！！ (2022年7月22日 2時) (レス) @page47 id: 448a7aaf1d (このIDを非表示/違反報告)
rry - ハイキューをテーマにした3作品読ませていただきました！全部最高で星10です！ (2021年11月14日 22時) (レス) id: 7243f08c85 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - 天羽さん» 天羽様初めまして！何度も読み返して頂き光栄です…！完結までもう暫くお付き合い頂ければ幸いです！コメントありがとうございました( ´ ` *) (2021年8月17日 12時) (レス) id: 4397bbbd69 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - 紅月。さん» 紅月様はじめまして！糖分増し増しで頑張っていきますのでこれからもご贔屓にお願いします( ´ ` *)コメントありがとうございました！ (2021年8月17日 12時) (レス) id: 4397bbbd69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2021年7月10日 20時
