煌（４０） ページ41
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『バレーが楽しいから』を理由に振られたのはいつだっけ。
そんなことをふと思い返して懐かしさに顔が綻ぶ。
それが今では『バレーが楽しい、でもAがいればもっと楽しい』なんて贅沢過ぎる言葉を貰い、私は一体前世で如何程の得を積んだのだろうかと思わず感極まってしまう。
｢ほんとにあそこ座れないの？絶対？｣
気後れする程のファンの多さに悔しさで痛んだ胸の感覚は未だ残っている。
あの日遠い世界のスターだった木兎光太郎という人。それが今私の目の前に居て、応援席に私が居ないことを嫌だと言い、弱々しく眉尻を下げて駄々を捏ねている。
…やばい、泣きそうだ。
状況を棚に上げて勝手に感極まりそうになるのをすんでのところで涙腺をキュッと閉じ、木兎先輩に向き直って小さく笑みを浮かべる。
｢大丈夫です。中には入れないですけど、終わるまでロビーで待ってます｣
あの階段の下、と木兎先輩と二回目に会話した場所を説明すればふむ、と少し不満げな表情が緩められる。
｢私だってほんとは久しぶりに木兎先輩がバレーしてるところ見たかったから…外で待ってるくらいなら許してもらえると思います｣
｢っんなの当たり前じゃん！俺が許可する！｣
｢、ふふ。木兎先輩はいつだって誰よりもかっこいいですから、何も心配することないです｣
｢っ、！そーだろ！俺はAの一番だからな｣
｢はい、もちろん！木兎先輩がナンバーワンです｣
こくこくと何度も頷きながらそう言えば不満げな顔はどこへやら、すっかり満面の笑みを浮かべた木兎先輩の顔。それに人知れずほっと胸を撫で下ろした。
言うべきことは全て言ったと戦果を上げて身体の力が抜ける私に木兎先輩は｢なぁA、｣と声をかける。
｢はい？｣
｢…知らねーやつについて行くなよ｣
｢や、だから。私高校生ですって｣
｢ムボービにしてたら声かけられんだろ！？んなのダメ！俺が行くまで一人でいること！｣
｢わかった、わかりました！じゃあ待ってるので一番に来てくださいね！｣
半ばやけくそで発したそれは黄金色の瞳を大きく目を見開かせる。
｢……一番にAに会いにいく！分かりやすいとこいとけよ｣
にやっと歯を見せて笑う木兎先輩にそのつもりですと返す。私の言葉に目を細め、くしゃりと頭を撫でた。
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みんみん(プロフ) - ゆららさんのお話、とても大好きです！楽しくってキュンとしながら読ませて頂きました！！ (4月18日 9時) (
レス) @page47 id: 708a20f575 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ - 木兎さん最強でした……普段コメントしませんが、思わず感想をお伝えしたくなりました…！めちゃくちゃキュンとしました！！ (2022年7月22日 2時) (レス) @page47 id: 448a7aaf1d (このIDを非表示/違反報告)
rry - ハイキューをテーマにした3作品読ませていただきました！全部最高で星10です！ (2021年11月14日 22時) (レス) id: 7243f08c85 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - 天羽さん» 天羽様初めまして！何度も読み返して頂き光栄です…！完結までもう暫くお付き合い頂ければ幸いです！コメントありがとうございました( ´ ` *) (2021年8月17日 12時) (レス) id: 4397bbbd69 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - 紅月。さん» 紅月様はじめまして！糖分増し増しで頑張っていきますのでこれからもご贔屓にお願いします( ´ ` *)コメントありがとうございました！ (2021年8月17日 12時) (レス) id: 4397bbbd69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2021年7月10日 20時
