煌（３９） ページ40
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木兎先輩と帰る夜の道はいつも心臓が忙しいけれど、今日のこの瞬間はそれも割増だった。
いつもなら木兎先輩との時間にドキドキすることはあっても緊張することは無くて、沈黙も気にならないくらいなのに今日は別。
ここに来てやっぱり件の応援のことをどうやって切り出せばいいものかとぐるぐると考え込んでいた。
なるべく傷が浅くなるような言い方で、アフターケアに尽力を尽くす。
赤葦先輩に言われたことを頭の中で復唱しながら意を決し、覚悟を決めて木兎先輩に向き直る。
｢あの、木兎先輩！｣
｢んぁ？なに｣
｢あのですね…、週末の試合の件なんですが…｣
顔色を窺う私に首を傾げて先を促す木兎先輩。
｢今回先輩達の応募が多かったみたいで…抽選に洩れてしまって、｣
尚も木兎先輩の首は傾げられたまま、どうやらよく意味が分かっていないよう。
…恐る恐る、視線を合わせる。
｢……ですので、今回私、会場に入れないことになってしまって、ですね｣
｢………、入れない？｣
｢………応援席に、入れない｣
｢……………、｣
不気味な程になんの表情変化もさせない木兎先輩。
これがもし密閉された室内にいれば鼓膜に空気圧を感じる程の沈黙。あまりにも重たすぎるそれ。
当初の予想とは裏腹に無反応が過ぎる木兎先輩に完全に予定が狂い、用意していた次の言葉も喉奥に押し込まれる。
黙りこくっていた木兎先輩はしばらくの間を置いて、いたたまれず視線を泳がせる私にぽつりと零した。
｢俺、バレーやるのがすげぇ楽しい｣
喜びも憂いも見受けられない無の表情で木兎先輩は私を見る。
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｢でもそこにAがいればもっと楽しいんだよ｣
交わった視線に目を瞬かせれば大きな目が伏せられる。
その顔に、じわじわとおもしろくないことが起きたときの小学生のような表情が見え隠れし始めて、張り詰めていた空気が緩んだような気がした。
｢…ごめんなさい、くじ運悪くて｣
｢……俺、Aがいねーのやだ｣
｢ごめんなさい…こればっかりはどうにもならなくて、｣
″らしさ″満載の不服顔に頭を悩ませられることもあるけれど、私はどこかこの反応をもらって安心している。
よっぽど自分もこの人に惚れ込んでいるのだと思えばつくづくこの立ち位置を適任だと感じて少し笑ってしまう。
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みんみん(プロフ) - ゆららさんのお話、とても大好きです！楽しくってキュンとしながら読ませて頂きました！！ (4月18日 9時) (
レス) @page47 id: 708a20f575 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ - 木兎さん最強でした……普段コメントしませんが、思わず感想をお伝えしたくなりました…！めちゃくちゃキュンとしました！！ (2022年7月22日 2時) (レス) @page47 id: 448a7aaf1d (このIDを非表示/違反報告)
rry - ハイキューをテーマにした3作品読ませていただきました！全部最高で星10です！ (2021年11月14日 22時) (レス) id: 7243f08c85 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - 天羽さん» 天羽様初めまして！何度も読み返して頂き光栄です…！完結までもう暫くお付き合い頂ければ幸いです！コメントありがとうございました( ´ ` *) (2021年8月17日 12時) (レス) id: 4397bbbd69 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - 紅月。さん» 紅月様はじめまして！糖分増し増しで頑張っていきますのでこれからもご贔屓にお願いします( ´ ` *)コメントありがとうございました！ (2021年8月17日 12時) (レス) id: 4397bbbd69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2021年7月10日 20時
