煌(34) ページ35
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ロードワークのために私の家の辺りまで来る、と言っていた木兎先輩の言葉を全く疑っていた訳では無いものの、いざ学校外のオフなその姿を全く身構えもせずに視界に入れると私は漫画のように目が点になった。
「……っびっっくりしたぁ……」
もう既に部活帰りの木兎先輩に何度か送ってもらっていたこともあり、木兎先輩がいつものルートを多少変えて私の家の前を通ることは全く奇想天外なことでは無いものの、例によって心の準備無しに木兎先輩を視界に入れるのは刺激が強すぎる。眩しい。
と、そんなことを考えていた私は今家の前にて近所に住む幼馴染である男友達に懇願された末に宿題のノートの受け渡しを行っている最中で、その間ふと横を見た先百メートル程の場所に見知った木兎先輩の姿を捉えて目が丸くなっている、といった状況だった。
「え…あれ木兎光太郎じゃね?」
「この辺よく通るんだって…」
「ふーん」
てか近所なんだな、なんて焦りも驚きもせずサンキュ、と一言残して手を振り踵を返す幼馴染に条件反射に手を振り返す。
そして、改めて木兎先輩が見えた方向へ目をやった。
と、鮮明に表情まで読み取れる距離に近づいたとき、その顔一面に不服の色が窺えることに違和感を覚える。
それに、私を視界にとらえたであろう瞬間から今まで何一つ声をかけてこないのも妙だった。
そんな妙な木兎先輩はついにとことことスピードを緩めて私の前にやってきて、俯いたまま尚も無言を貫いている。
「………木兎先輩?お疲れです。ほんとにこの辺、よく通るんですね」
顔色を窺いつつ発した私の言葉にきゅっと眉間に皺を寄せる。ついに今日初めて視線が交わった。
「…、今のやつだれ!」
「へ?え、と。幼馴染、です」
「…おさななじみ?それってすげぇ仲良いってことじゃねーか!」
幼馴染は仲の良さを示す言葉じゃないです、という正論は今この場では正論ではないなと0.5秒で考える。
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みんみん(プロフ) - ゆららさんのお話、とても大好きです!楽しくってキュンとしながら読ませて頂きました!! (4月18日 9時) (レス) @page47 id: 708a20f575 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ - 木兎さん最強でした……普段コメントしませんが、思わず感想をお伝えしたくなりました…!めちゃくちゃキュンとしました!! (2022年7月22日 2時) (レス) @page47 id: 448a7aaf1d (このIDを非表示/違反報告)
rry - ハイキューをテーマにした3作品読ませていただきました!全部最高で星10です! (2021年11月14日 22時) (レス) id: 7243f08c85 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - 天羽さん» 天羽様初めまして!何度も読み返して頂き光栄です…!完結までもう暫くお付き合い頂ければ幸いです!コメントありがとうございました( ´ ` *) (2021年8月17日 12時) (レス) id: 4397bbbd69 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - 紅月。さん» 紅月様はじめまして!糖分増し増しで頑張っていきますのでこれからもご贔屓にお願いします( ´ ` *)コメントありがとうございました! (2021年8月17日 12時) (レス) id: 4397bbbd69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆらら | 作成日時:2021年7月10日 20時