煌（３２） ページ33
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イレギュラーな時間の居残りはなんだか気分が高まるような気がしてくる。
暗いところにワクワクする小学生のような思考回路の私は時計の長針が二十を指す少し前、教室を出て夕方足を運んだ体育館への道をまた歩いていた。
もちろん私はこんな時間まで学校に残っていたことは無くて、未だ残っていた人が帰宅するまばらな声やグラウンド整備をしている野球部員の声など聞こえてくる音の全てが新鮮だった。
第一体育館が徐々に近づくにつれ中から漏れる体育館の暖色ライトが色濃くなる。柔らかいそれが私を照らすくらい扉へ近づくと、天井の高い体育館に響いて聞こえるのは数人の声。
そして、一概にぼんやりとした響きだったそれに混じりひとつだけやけに輪郭を帯びて聞こえるのは木兎先輩の声。その対比がおかしくて思わず緩む口元に手をやった。
｢一一んじゃー俺、先いく！お疲れ！｣
手元の携帯を傾ければぴったり七時半。
今回ははっきり聞こえた声と同時、段々と扉へ近づく足音。
｢一一木兎先輩！お疲れ様です！｣
｢〜っ！A！｣
開口一番待ちきれずにそう言えば、ぱぁっと効果音が付きそうなほどの笑顔を浮かべる木兎先輩の顔を見て私も表情筋が溶けた。
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上機嫌のときに出る鼻歌を聞くのも久々で、まるで時間が逆戻りしたよう。
すっかり日が落ちた駅までの道のりを並んで歩く中、隣からは先程振りかけたのであろう制汗剤の香りがふわふわ漂い鼻を擽る。
爽やかなはずのそれは木兎先輩の匂いと混ざることによって一層香りが深まりクラクラする。
胸いっぱいに吸い込みたいのを浅い呼吸で誤魔化して、なんでもないフリをしながらちらりと木兎先輩を見上げた。
｢…んー？なぁーんだよ、｣
｢…んへへ、なんでもないです｣
｢も〜しょーがねぇなぁ。そんなに俺好き？｣
｢、好き｣
｢…んっふふ。知ってる｣
カワイーね、とクシャッと崩された表情からそろりと目を逸らす。
夜でも木兎先輩が眩しいのは変わらなくて、ただでさえ隣にいることでドキドキとうるさい心臓が余計に高鳴って困る。というのはきっと、贅沢な悩みだ。
｢私、いつでも木兎先輩と一緒にいたいので。部活があってもいくらでも待ちます｣
木兎先輩の調子の面を考えれば私がここで遠慮すべきでは無いと考えた。
私の顔を見て木兎先輩のメンタルが保たれるのなら願ったり叶ったりだ。
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みんみん(プロフ) - ゆららさんのお話、とても大好きです！楽しくってキュンとしながら読ませて頂きました！！ (4月18日 9時) (
レス) @page47 id: 708a20f575 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ - 木兎さん最強でした……普段コメントしませんが、思わず感想をお伝えしたくなりました…！めちゃくちゃキュンとしました！！ (2022年7月22日 2時) (レス) @page47 id: 448a7aaf1d (このIDを非表示/違反報告)
rry - ハイキューをテーマにした3作品読ませていただきました！全部最高で星10です！ (2021年11月14日 22時) (レス) id: 7243f08c85 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - 天羽さん» 天羽様初めまして！何度も読み返して頂き光栄です…！完結までもう暫くお付き合い頂ければ幸いです！コメントありがとうございました( ´ ` *) (2021年8月17日 12時) (レス) id: 4397bbbd69 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - 紅月。さん» 紅月様はじめまして！糖分増し増しで頑張っていきますのでこれからもご贔屓にお願いします( ´ ` *)コメントありがとうございました！ (2021年8月17日 12時) (レス) id: 4397bbbd69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2021年7月10日 20時
