煌（３１） ページ32
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じわり、じわり。
そんな擬音がしっくりくるように顔全部で″嬉しい″を形成させながら木兎先輩は口を開く。
｢なんだよ〜！来るなら言えよ！びっくりしただろー！？｣
｢え、へへ。すみません、会いたくなっちゃって｣
｢っ！…ったくしょーがねぇなぁAは！存分に俺を見ろ！｣
しきりに目を泳がせながらわしゃわしゃと私の頭を撫でる木兎先輩に笑いを堪えつつ頷く。
久々に感じたその温かさは、どこか物足りなさを感じていた心の隙間にぴったり収まるものがはめ込まれたよう。
私だって木兎先輩が気落ちしていたぶんだけ、あるいはそれ以上に寂しかったし顔を見たかったことに変わりないのだ。
｢週末、試合ですね。毎日遅くまでお疲れ様です｣
｢ん？おぉ。Aがいなくても俺、ちゃんとやってた！｣
｢……そう、ですね？｣
どの程度をもって″ちゃんと″というのだろうかと赤葦先輩から木兎先輩の近状を聞いていた私は小さく考える。
とはいえバレーに貪欲な木兎先輩はそんな中でも私に会いに来ることは無かったし、そういう所がずるいなと思う。まぁ赤葦先輩の言うように、単に意固地になっていただけなのかもしれないけれど。
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｢……木兎先輩、元気になりました？｣
満足気な笑みを携えて私を見下ろす顔をそっと見上げる。
元より今日ここへ来たのは気落ちした木兎先輩のモチベーション回復を頼まれたからで、そこに私利私欲が乗っかった結果私も得をしているというわけだけど。
顔色を窺うように尋ねた私を見つめていた木兎先輩はぎこちなく視線を宙へ逸らした。
｢別に俺はー…いつも元気だし｣
｢…うっそだぁ｣
｢あー！？なんだよ！ほんとだっつの！…べ、別に？最近調子悪かったりとかもしねーし？｣
｢そー…ですか？それなら練習も始まるようなので私はこれで、｣
｢っておぉいコラ、待て！｣
頭を下げて踵を返そうとした私をすかさず呼び止める。
バツが悪そうに頬をかきながら視線を泳がせている木兎先輩は数秒の沈黙の後ちらりと私を見る。
｢………もー帰んの？｣
｢はい。放課後なので｣
｢……俺はまだ帰んないけど？｣
｢そうですね。練習頑張ってください｣
｢っ〜！だぁ〜もう！七時半！教室迎えに行くからっ……待ってて！｣
吐き捨てるようにそう言った木兎先輩を見つめたままふっ、と吹き出す。
｢七時半にここで待ってます｣と言えば一つ頷き、もう一度頭に手の平を乗せてから体育館へ戻った。
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みんみん(プロフ) - ゆららさんのお話、とても大好きです！楽しくってキュンとしながら読ませて頂きました！！ (4月18日 9時) (
レス) @page47 id: 708a20f575 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ - 木兎さん最強でした……普段コメントしませんが、思わず感想をお伝えしたくなりました…！めちゃくちゃキュンとしました！！ (2022年7月22日 2時) (レス) @page47 id: 448a7aaf1d (このIDを非表示/違反報告)
rry - ハイキューをテーマにした3作品読ませていただきました！全部最高で星10です！ (2021年11月14日 22時) (レス) id: 7243f08c85 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - 天羽さん» 天羽様初めまして！何度も読み返して頂き光栄です…！完結までもう暫くお付き合い頂ければ幸いです！コメントありがとうございました( ´ ` *) (2021年8月17日 12時) (レス) id: 4397bbbd69 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - 紅月。さん» 紅月様はじめまして！糖分増し増しで頑張っていきますのでこれからもご贔屓にお願いします( ´ ` *)コメントありがとうございました！ (2021年8月17日 12時) (レス) id: 4397bbbd69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2021年7月10日 20時
