煌(1) ページ2
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自分をミーハーだな、と思ったことはあまり無い。
二度の義務教育中に必ず居た所謂人気者に括られる男子は一概に″クラスのムードメーカー″″足が早い″″分け隔てなく誰にでも優しい″などに該当し、モテそうだな、の具現化宜しく実際モテていたしその名に恥じない人間性で良い人達だった。学校でスポーツが絡む行事があればその良い人達は途端に女子から歓声をかっさらい、行事毎にファンを増やしていく。
年下も同い年も年上も関係無く沸き立っている良い人達のファン。それにファンサービス宜しく朗らかに対応する良い人達。
_____私はどちらかといえば、それを遠巻きに見ているタイプの人間だった。
一人に群がって歓声を上げるファンを蔑んでいた訳では無いけれど、まぁ私とは違う世界の出来事だと。輪の中心でにこやかな良い人を見ても、まぁ確かに良い人だな、に留まるくらいでそこから自分がその人とどうこうなりたいという発想にはどうも至らなかった。
………それなのに。
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「…なぁーんでこうなっちゃうかなぁ〜……」
設備のいい図書室の布張りソファに深く腰を沈め、自分の手中に収まる『月バリ』とでかでかと括られたスポーツ雑誌にぐりぐりと額を押し付けた。
そもそも。今手に持っているこれは自分で今月の発売日と同時に書店に買いに行ったことが記憶に新しい。だから家にも同じものが今正に机の前に貼ってある。置いてあるのではなく、貼ってある。16ページ目だけ切り抜いたものが、勉強机の前に。
「………」
押し付けた額をそっと持ち上げて、先程から何度も目に焼き付けるように見ていた16ページ目をそっともう一度開く。
『______梟谷学園高校 木兎光太郎』
写真越しにも色褪せないその輝きは何度見ても変わらなくて、グッと雑誌を持つ手に力が入ると同時にごくりと唾を飲む。
今正にスパイクを打ちますといった瞬間のそれを指でなぞれば、喉が震える。
眩しい。かっこいい。もう、それ以外の言葉が出てこない。
自分をミーハーだと思ったことはあまりない。
私にその気質は無いのだと思っていた。が、彼と出会ってからというものそんな幻想は途端にひっくり返った。
私は″木兎光太郎″のファンであり、その木兎光太郎とどうこうなりたいと思っている内の一人だ。
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みんみん(プロフ) - ゆららさんのお話、とても大好きです!楽しくってキュンとしながら読ませて頂きました!! (4月18日 9時) (レス) @page47 id: 708a20f575 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ - 木兎さん最強でした……普段コメントしませんが、思わず感想をお伝えしたくなりました…!めちゃくちゃキュンとしました!! (2022年7月22日 2時) (レス) @page47 id: 448a7aaf1d (このIDを非表示/違反報告)
rry - ハイキューをテーマにした3作品読ませていただきました!全部最高で星10です! (2021年11月14日 22時) (レス) id: 7243f08c85 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - 天羽さん» 天羽様初めまして!何度も読み返して頂き光栄です…!完結までもう暫くお付き合い頂ければ幸いです!コメントありがとうございました( ´ ` *) (2021年8月17日 12時) (レス) id: 4397bbbd69 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - 紅月。さん» 紅月様はじめまして!糖分増し増しで頑張っていきますのでこれからもご贔屓にお願いします( ´ ` *)コメントありがとうございました! (2021年8月17日 12時) (レス) id: 4397bbbd69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆらら | 作成日時:2021年7月10日 20時