大好きな温もり ページ10
えっと・・・
どうしよう。
完全に頭の中が混乱してる。
『助けて』と思ったら現れた二宮さん。
前田さんに「彼氏です｣と宣言してる二宮さん。
前田さん達が部屋に入って行った後、隣で私を見て微笑んでる二宮さん。
何をどう聞けば良いのかわからない。
聞きたい所、いっぱいあるよ？
突っ込みどころ満載だよ？
でも、
「あ、あの、何で・・・」
そこで言葉が詰まってしまう。
「なんでって、そりゃ、ドラミちゃんがピンチの時はにのちゃんが現れるって決まってるから？」
そう言って可笑しそうに口元を隠して笑う二宮さん。
そうなんですけど。
今まで、私が困ってる時はいつも現れてたから・・・
いや、そうなんですけど。
また私が口を開こうとすると、今度は二宮さんが聞き返す。
「あれ？ピンチじゃなかった？もしかして良い雰囲気壊しちゃった感じですか？」
は？！
「そんなわけ無いじゃないですか！」
嫌で仕方なかったのに、そんな事言われて、思わず声を荒げてしまう。
「はいはい、とりあえずお部屋に入ろうね」
そんな私の背中を押して、相変わらず面白そうに笑いながら、櫻井さんが予約してくれた、一番奥の部屋へ入り、引き戸を閉める二宮さん。
怪訝な顔をする私を、自分の方に向かせて、今度は優しく見つめてきた。
少し暗がりの部屋の中なのに、二宮さんの瞳はキラキラ輝いて綺麗。
ふっと笑うと、頭をぽんと撫で、私の顔を覗き込む。
その顔があまりにも優しくて、思わず俯く私。
次の瞬間、ふわっとした空気が頬の横を通り過ぎて、暖かい温もりに包まれた。
「お迎えにあがりましたよ、姫？」
優しい、優しい、囁き。
「もう、お家にかえろ？」
まわされた腕にぎゅっと力が入ったのが分った。
ああ、これです。
私の大好きな声。
私の大好きな温もり。
「・・・」
しばらく何も言えずに、頭を二宮さんの胸にもたれさせ、居心地のよさに酔いしれる。
隣の部屋では、何を言ってるかまでは聞こえないけど、凄く盛上がってる声が聞こえた。
「ドラミちゃん？」
上から降って来た甘い声。
顔をあげると、優しく微笑む二宮さんの顔があって。
私も思わず頬が緩んでしまう。
そしたら、おでこをくっつけられて、グリグリされた。
鼻と鼻がぶつかってちょっとくすぐったい。
二人同時にふっと笑うと、
そのまま唇が重なった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 627人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：むぅぽん
作成日時：2012年11月30日 15時
