かないっこない〜前田side〜 ページ9
思わず、Aちゃんを抱きしめちゃって、歯止めがきかなくなってしまった。
でも、ここまで来たら、頑張るしかない。
強引だったけど、キスしようと顔を近づけた。
その時だった。
不意に肩を凄い力で掴まれて、引っ張られる。
驚いて顔を上げると、そこには、笑みを浮かべる二宮さんがいた。
．
今日合コンに二宮さんが来るのは、後藤さんから聞いていたけど。
結衣ちゃんに会いにくるって聞いてたのに目の前にいる二宮さんは、明らかに怒ってる。
顔は笑ってるんだけどさ、目が全然笑ってなくて。
かえってそれが恐い。
呆然として、二宮さんから目が離せない俺に、
「どいてもらえます？」とまた、微笑んだ二宮さん。
やっぱり目が笑ってなくて、その恐さに、一瞬背筋がぞくっとした。
・・・完全に酔いが覚めたよ。
Aちゃんの彼氏って・・・
「ああ、俺ですけど」
平気であっさり認める二宮さん。
そう言うのって、普通隠すもんじゃないの？
なんのためらいもなく、むしろ堂々としてて、強気。
それだけ、覚悟を持って、Aちゃんと付き合ってるってことか。
俺、全く太刀打ち出来そうもないじゃん。
つか、結衣さんい合いに来たなんて、口実で、Aちゃんの事、迎えに来たんでしょ？
天下のスーパーアイドルだよ？
分刻みのスケジュールこなしてるって、もっぱらの噂じゃん。
そんな人がわざわざ迎えに来てるんだよ？
俺の入る隙なんて、これっぽちもなかったんだな。
知らなかったとはいえ、自分のした事が急に恥ずかしくなって思わず、
「参ったな・・・」と言ってしまった。
その言葉で、俺を睨む二宮さん。
まあ、色々言われるよね、きっと。
そう覚悟してたけど、横にいた相葉さんと櫻井さんが、思いがけず、俺を守ってくれて、元いた部屋に一緒に来てくれた。
．
ふすまを開けると、思いがけずの来客にみんな一瞬固まる。
しかし、次の瞬間、「きゃあ〜っ」という、女性陣の黄色い声が響き渡った。
「どういうことなん？！」と驚いて俺に話しかけてくる後藤さんに櫻井さんが、何かを説明している。
それを苦笑いで見ながら、元いた席に腰をおろし、余っていたビールを飲み干した。
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作者名：むぅぽん
作成日時：2012年11月30日 15時
