不届き者〜ニノside〜 ページ8
雑誌の取材が終わって、店に入り、一番奥の部屋に案内される。
「あれ？誰かいるね」
先頭を歩いていた翔さんがふと足を止めた。
見ると、男が女を抱きしめてる。
・・・ってかドラミちゃん？！
うおっ危なっ。
後少し遅かったら大変だったじゃん。
店員が注意に向かう前に、俺が駆け寄る。
内心、腑が煮えくり返ってたけど、こんな所で暴れたって何も良い事無いからね。
ドラミちゃんに襲いかかってる不届き者の肩をぐいっと掴み、わざとニッコリ微笑んでやった。
俺に肩をつかまれ、目を白黒してる、不届き者。
肩越しから見えるドラミちゃん。
少し涙目になってる。
そんなドラミちゃんを早く自分の腕に治めたくて、
不届き者にわざと笑顔で
「どいてもらえます？」と言って、掴んだ肩をさらに押した。
呆然と俺を見てる不届き者を横目に、ドラミちゃんの腕を引っ張って、立たせる。
それを見届けた不届き者が、我に返ったのか、口を開いた。
「Aちゃん・・・もしかして、Aちゃんの彼氏って・・・」
「ああ、俺ですけど」
あっさり認めた俺に、驚いて、口があんぐり空いてる。
「週刊誌に売ってもらっても構いませんよ？多分相手にされませんけどね。俺、今、女優と付き合ってる事になってるから、そっちの方がマスコミ的には面白いでしょ？」
そう言ってまた微笑んでやった。
「・・・・」
何かを考え込んでいる不届き者。
それから、ふうっとため息をついて、
「そんな事はしませんよ。いや、参ったな〜」
と言って笑った。
『参ったな』じゃないんですけど。
心の中で悪態をつく俺に気付いたんだろう、
相葉さんが不届き者に声をかける。
「あ、ねえ！！前田さんだよね？前に俺、前説見た事あるの。面白くて好きだったんだ！！」
「ああ、どこかで見た事あると思ったら。よかったら、何かの縁だし、一緒に飲みましょうよ。そっちの部屋に合流させてもらっちゃっていいですか？」
翔さんも続く。
「え？あ、ああもちろん、大丈夫ですよ！」
戸惑いながらも、快く隣の部屋に案内する不届き者・・・もとい、前田。
隣の部屋のふすまを開けると、一瞬静かになり、その後、「きゃああっ！！」って黄色い歓声が上がった。
部屋に入ろうとした翔さんが足を止めて、こちらを向く。
「隣の部屋、俺の名前でとってあるから、まあ、好きに使って？」
そう言って笑った。
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作者名：むぅぽん
作成日時：2012年11月30日 15時
