ぎゅってしたい。 ページ29
しばらくキスを繰り返して、なんだかふわふわした気分になって来たのかもしれない。
「あの・・・一つお願いがあるんですけど」
と、思わず言ってしまった。
「なに？」
私の頭を撫でながらふふっと笑ってる二宮さん。
「えっと・・・その・・・」
思わず俯いてしまう。
「なによ」
おずおずしている私を可笑しそうにしているのが、声でわかった。
鼓動がこれでもかってほど早くなる。
二宮さんの袖の裾を掴む手にまた力を入れた。
「あの・・・ね？ぎゅってしたいん・・・です。」
うわ！言っちゃった。
あまりの恥ずかしさに顔が上げられない私。
二宮さんの胸元にまた顔をうずめた。
「ぎゅって・・・今、結構な強さでしてるつもりなんですけど。」
そう言って笑ってる二宮さん。
あ・・・いや、そうじゃなくてね。
「あの・・・してもらうんじゃなくて、ですね。」
今度は顔を上げて、二宮さんを見る。
「ん？」
そうやって少し首を傾げた二宮さんは、本当に優しくて、ふんわりした笑顔。
キラキラしてる瞳がまっすぐこっちを向いている。
・・・確実に私、顔が真っ赤だよね。
でも、ここまで言ったんだから頑張って言おう。
「私が・・・二宮さんをギュッてしたいんです。」
その言葉に少し驚いた表情をする二宮さん。
ううっやっぱりだめだったかな。
「だ・・・め？」
恐くなって、思わず聞いてしまう。
そしたら、またふわっと笑って、
「いや？お好きなだけどうぞ。」
と言って、少し身体をはなして、両手を広げてくれた。
それが嬉しくて、吸い寄せられる様に、二宮さんの身体にくっついて、腕をまわす。
ギュッて音が立つんじゃないかってくらい、力を入れて二宮さんを抱きしめた。
また二宮さんの心地よい心音が聞こえる。
さっきよりも少し遅くなったかな？
そんな事を考えてると、また、二宮さんの腕が私を包んで、温もりに包まれる。
「大好き・・・」
包まれた腕の中で、思わず呟いて目を閉じると、夢心地になった。
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作者名：むぅぽん
作成日時：2012年11月30日 15時
