優しいキス ページ28
「私、二宮さんが大好きです」
そう言った唇が、
二宮さんのシャツの袖を引っ張る手が、
凄く震えてる。
そんな私を力入れ直してまたぎゅっとしてくれる。
「好き」
「・・・うん」
「大好きです」
「うん」
少し顔を離すと、どちらからともなく、唇を重ねる。
「・・・なんか、しょっぱい」
ふわっと笑う二宮さんが少しぼやけてる。
「二宮さん、大好き」
私が呟く。
「うん。知ってる」
二宮さんがまた笑った。
少し照れくさくなって、二宮さんの胸元に顔を埋める。
そしたら、また回された腕に力が入って、今度は頭をよしよしされた。
「A、顔、あげて？」
そう言って顔を覗き込む二宮さん。
恐る恐る顔を上げると、少し目を細めて、笑ってる優しい顔が目の前にあった。
「A、ありがとう。」
それだけ。
たったそれだけの短い言葉。
でも
嬉しかった。
今までこんな幸せだって思う出来事あったかな。
やっぱり二宮さんは私にとってはスーパーマン。
私をこんなに幸せに出来るのはあなたしかいません。
もっとあなたの顔を見ていたいのに、視界はぼやけて何も見えない。
ただ、
「あ〜あ、凄い顔になってますけど？」
って笑いながら涙をそっと拭ってくれる掌の温もりははっきり感じる。
二宮さんと出会ってから、いつも、二宮さんに涙を拭ってもらってた気がする。
この掌の温もりをもっと早く信じれば良かった。
過去に怯えて、勇気を出せなかった私を許してください。
また涙が溢れてくる。
「相変わらず泣き虫」
そう言って笑う二宮さん。
今度は頬を掌で包まれたまま、唇が重なった。
「やっぱりしょっぱい」
二宮さんがおでこをくっつけて笑う。
その笑顔につられて、私も頬が緩んでしまう。
「A・・・大好きだよ」
甘い囁きが目の前で聞こえて
また唇が重なった。
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作者名：むぅぽん
作成日時：2012年11月30日 15時
