結衣さんだ！ ページ1
今日の撮影の片付けも終わり、業務が終了し、身支度をしてから、彩美さんと待ち合わせのカフェに向かう。
結局、あれ以来、二宮さんとはお話し出来なかったな・・・
テレビ局を出て、足早に駅へと向かう。
ふうっとため息をつくと、白い息がふわっと浮いた。
『ドラミちゃん』
そう言って笑う、二宮さんが浮かんで、また少し視界がぼやけた。
久しぶりに会ったのに、あんなに悲しそうな顔をさせてしまって。
でも、恐くてたまらない自分がいて、嫌になる。
なんか、合コンって、気分ゼロだなあ・・・。
いや、ここは、合コンと言うよりは気分転換に飲みに行くって思って、楽しもう。
駅に着く頃、そう自分の中で結論を無理矢理出し、大きく深呼吸した。
．
「あ、Aちゃん、こっち〜」
カフェにつくと、彩美さんが手をふってくれた。
相変わらず綺麗。
遠目からみると、本当にキラキラしてる・・・。
「Aちゃん、本当に今日はありがとうね。」
「いえ、彩美さんのためですから。」
笑いながら、もう一人の人に軽く会釈する。
「えっと、これで全部ですか？」
そう聞くと、
「もう一人来る予定なんだけど・・・」
少し困り気味の彩美さん。
すると、一緒に居た、ショートカットの女の子がため息まじりに
「彩美、本当に人がいいんだから・・・」
と苦笑いをした。
「あ、私、杉山美香。よろしくね」
『彩美から噂は聞いてるよ〜』と言って、微笑んだ美香さんはやっぱり可愛い。
グラビアの人、本当にみんな可愛いよな〜。
って、当たり前か(笑)
「ごめんねえ、撮影長引いちゃって」
少し待っていると、見た事のある顔の人が目の前に現れた。
「いそがしくてさあ」と言いながら、どかっと座るその人。
・・・もしかして。
「あ、あの、もしかして、沢田結衣さんですか？！」
少し興奮気味に言う私を横で、苦笑いしてる彩美さん。
「ああ、そうだけど？」
怪訝な顔で私をみている、結衣さん。
「すごい！！本物はさらにお綺麗ですね」
つい、興奮して、前のめりになってしまう。
沢田結衣さんは、グラビアアイドルなんだけど、ゴールデンタイムのバラエティにもたくさん出てて、今すごく売れっ子なタレントさん。
そっか、そんな売れっ子さんでも合コンなんてくるんだね。
もしかして、相手の人がご指名したのかな？
私の勢いに驚いていた結衣さんが、
「あなた、今日はよろしくね」
と言ってニッコリ笑った。
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作者名：むぅぽん
作成日時：2012年11月30日 15時
