見習い生活143 ページ10
私達がいる場所から丁度死角になる壁から、誰かが此方に向かって来る。
「……！」
声からして薄々感づいていたが、その正体を目にして驚いた。
橙色の瞳に、何を考えているのかわからない無表情な顔。
……間違いない。
まさか本人が出て来るとは思わず、唖然とする私。
いや、鈴姫さんも同じだろう。
「た、田噛……さん？」
やっと出せたその声に、田噛さんは反応しない。
心なしか、此方に来る時の速度がいつもより早い気がした。
「ど、どうして此処に？」
予期せぬ出来事だったのか、鈴姫さんが田噛さんの元に行こうと一歩進む。
すると田噛さんはそれを目だけで制し、私の隣に立った。
「お前の声が俺のいる病室まで響いてた」
言われた本人は、ハッとして口元を抑える。
余りにも急な出来事に、私は口を挟むことすら出来ずにいた。
「田噛さん……」
再度呼ぶが、それも見事にスルー。
それどころか、目も合わせない。
「お前、いつも此奴とそんな話してるのか」
鈴姫さんの方向を見て、田噛さんは聞く。
「…………」
此奴って……。
と、どうでもいいことを考えられる位には、その時の私の頭には余裕が出来ていた。
「えっと……」
唐突な質問に、予想外の人物登場も合わせ、鈴姫さんの焦った顔が見え隠れし始める。
「っ……いいえ。彼女とは今回が初ですわ。それに、別にちょっと忠告をしただけです」
この人立ち直りやがった……。
田噛さんの言葉を認めた上でそれを悪びれもなく言った鈴姫さんに、私はそう思う。
そんなに、田噛さんが……好き、なのだろうか。
「…………」
無言で、田噛さんは鈴姫さんを見つめる。
帽子の影もあってか、その目はギラギラと鈍く光っている様に見え、私は前にあった車事件の時のことを思い出していた。
……あの時と同じだ。
私が窓から手を離そうとした時に、それを掴んで此方を見た時の田噛さんの顔と……。
「なんで……」
その目に恐ろしさがあったのか、鈴姫さんが一歩下がりながら一言発する。
その声が、ほんの少しだけ掠れている様に思えた。
「なんでこの子なのよ！ 私の方が……私の方が……！」
そう言った後、鈴姫さんは胸ポケットから何かを取り出し……。
「あんたなんか……！」
そう言って、私に向かって何かを投げて来た。
「A……！」
「っ……しまっ……！」
いきなりのことすぎて、動作が遅れてしまい、私は
庇うように顔を背ける。
ーーパリィンッ。
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神無月(プロフ) - 田噛ー！かっこよすぎです！ (10月10日 18時) (
レス) @page45 id: cbb245cf81 (このIDを非表示/違反報告)
文章 野良(プロフ) - かふぇいんさん» キュンキュンして下さったのですか！？あ、ありがとうございます！更新頑張りますので、お暇があればまた見ていって下さい！コメントありがとうございました！！ (2017年11月8日 19時) (レス) id: 8bbe2f647f (このIDを非表示/違反報告)
かふぇいん(プロフ) - 一気読みしました！キュンキュンしすぎて心臓いくつあっても足りないですよ!!どうしてくれるんですか!?（精一杯の誉め言葉）更新待ってます(^_^) (2017年11月8日 17時) (レス) id: 85405eb198 (このIDを非表示/違反報告)
文章 野良(プロフ) - ねむねむさん» 面白いと言って頂けて光栄です！更新ペースを出来るだけ早く出来るよう努力しますので、どうぞこれからもよろしくお願い致します！ (2017年10月26日 1時) (レス) id: 8bbe2f647f (このIDを非表示/違反報告)
文章 野良(プロフ) - 恵方巻きさん» お返事が遅れてしまいすみません……！楽しみにして頂いて、本当に感謝しております……！これからも、どうぞよろしくお願い致します！ (2017年10月26日 1時) (レス) id: 8bbe2f647f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：文章野良 x他1人 | 作成日時：2017年2月24日 22時
