見習い生活144 ページ11
辺りに響くのは、鈍い音ではなく、高く耳によく残る様な音。
床に飛び散る何かの破片。
……何故か肩からさらりと垂れていく、自身の髪の毛。
「……え」
その意味を理解することは出来なかった。
隣にいる田噛さんも、私の頭辺りを見たまま動かない。
鈴姫さんは、その後にコツコツと走る様な音がしたから、おそらく私の目の前にはいないのだろう。
今の私は、それどころではなかった。
……帽子が……ない。
……今更気付いたけど、何故か外套もない。
「…………」
ゆっくり……その正体を見たくないのに、自然と目がそちらへ向いていく。
ああ、この形は……。
「そん……な」
口から出たのは、そんなか細い声と言葉。
……しっかりと、この目に焼き付けてしまった。
落ちた破片はピンク色で、先が二つに割れているのが五つ連なっている。
ただ、更にひびが割れ、所々かけてしまっているのだ。
髪を留める為に使っていた金具は、落ちたせいか物に当たったせいか、ぐしゃりと少し潰れてしまっている。
近くには、先程当てられたのであろうハートの形をした少し大きめのキーホルダーらしき物が転がっていた。
破片の前に、そちらに手を伸ばして拾ってみれば、思った以上に頑丈で、重い。
手のひらサイズの硬い石がぶつかったのと、きっと同じなのだろう。
今の私には、そんなことしか考えられなかった。
隣で何か声が聞こえるも、全然耳に入ってこない。
……獄卒は、感情を持たない。
だから、特に悲しいなんていう感情は出てこない。
でも、心が穴を開けた様な……大切な物が一つ抜け落ちてしまった様な虚ろさに、指一つ動かすことが出来ないでいる。
そのまま何も言わず、だらりとしていると……。
「ちっ……」
耳に残る舌打ちが聞こえた後、前にある破片が誰かに拾われ、次に私は誰かに無理矢理引っ張られながら、何処かへと連れて行かれた。
ーーそれから、私はどうやって自分のいた病室に来てベッドに座ったのか、思い出せなかった。
おそらく手を引っ張った本人が此処に連れて来て、ベッドに座らせてくれたのだろうが、記憶が曖昧だ。
「おい……」
そんな中、誰かが私の目の前に来て、しゃがみ込み、その瞳をこちらにジッと向けたまま……。
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神無月(プロフ) - 田噛ー！かっこよすぎです！ (10月10日 18時) (
レス) @page45 id: cbb245cf81 (このIDを非表示/違反報告)
文章 野良(プロフ) - かふぇいんさん» キュンキュンして下さったのですか！？あ、ありがとうございます！更新頑張りますので、お暇があればまた見ていって下さい！コメントありがとうございました！！ (2017年11月8日 19時) (レス) id: 8bbe2f647f (このIDを非表示/違反報告)
かふぇいん(プロフ) - 一気読みしました！キュンキュンしすぎて心臓いくつあっても足りないですよ!!どうしてくれるんですか!?（精一杯の誉め言葉）更新待ってます(^_^) (2017年11月8日 17時) (レス) id: 85405eb198 (このIDを非表示/違反報告)
文章 野良(プロフ) - ねむねむさん» 面白いと言って頂けて光栄です！更新ペースを出来るだけ早く出来るよう努力しますので、どうぞこれからもよろしくお願い致します！ (2017年10月26日 1時) (レス) id: 8bbe2f647f (このIDを非表示/違反報告)
文章 野良(プロフ) - 恵方巻きさん» お返事が遅れてしまいすみません……！楽しみにして頂いて、本当に感謝しております……！これからも、どうぞよろしくお願い致します！ (2017年10月26日 1時) (レス) id: 8bbe2f647f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：文章野良 x他1人 | 作成日時：2017年2月24日 22時
