３３、こんな私は ページ34
――私は今まで、何をしていた？
『悩む前に利用してやる』
そう大口を叩いていたのはどこの馬鹿であっただろうか。もう過去は変えられないんだろうけれど、カッとなって動いてしまった自分に嫌気がさした。
目の奥が熱くなって、慌ててぬぐっても、涙はボロボロと零れ落ちていく。私はしゃがみこんで泣き崩れた。その時、
「……クスッ」
幻聴？……不快な含み笑いが、聞こえたような気がしたが…
ツ「A」
ツナに名前を呼ばれて我に返った。
ツ「A、本当にありがとう。Aが助けてくれなかったら、俺いまごろ死んでたよ。ナイフに猛毒とか知らなかったからやばかった。……ありがとう」
「……ううん、ツナが無事で良かった」
獄「チッ、１０代目にお怪我が無かったから良かったけどよ」
武「それにしても、Aって強いんだなー。あんな１面があるなんてびっくりだぜ」
陽気な山本さんの声に、肩が震える。
待って、違う。あんなのが私だなんて、思わないでください。
「やめて……ください。ごめんなさい、ごめんなさい」
思考がめちゃくちゃになって、何がなんだかわからなくなる。ひたすらに
ポン。
頭の上に、大きな手のひらの感覚。混乱していた気持ちが、引いて行った。
「……山本くん」
私を静かに見つめる山本さんの瞳は、それはそれは綺麗だった。そして事実を悟ったように言う。
武「大丈夫だから、泣くなって。焦らなくていい。謝らなくてもいいんだ。Aは俺たちを救ってくれた。守ってくれた。例えどんなやり方でも、それは本当のことだろ。自分を信じていいってことだぜ」
「……うん」
ありがとうございます。なんて言葉じゃ言い表せない気がするけれど。
この人に自分は動かされている。そう思った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 73人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「トリップ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
実結(プロフ) - 真希makiさん» コメありがとうございます！！読みやすいとか最高の褒め言葉ですね！(*´▽｀*)嬉しいです♪お気遣いも感激です！真希makiさんも更新、頑張ってください！ (2015年6月9日 21時) (
レス) id: 88d69550ce (このIDを非表示/違反報告)
真希maki(プロフ) - とっても面白いです！文の構成が好みで、読みやすかったです！小説の更新大変かと思いますが頑張って下さいね！応援してます！ (2015年6月8日 21時) (レス) id: f476a34bb1 (このIDを非表示/違反報告)
実結(プロフ) - 作者です！！ランキング７１位出ました！！めちゃくちゃうれしいです、みなさんのおかげです！！また近いうちに更新します！！ (2015年2月26日 10時) (レス) id: 88d69550ce (このIDを非表示/違反報告)
碧みんく(プロフ) - 実結さん» ありがとうございますッ！！！ これからも頑張ってください♪ (2015年2月4日 20時) (レス) id: 4c374be14d (このIDを非表示/違反報告)
実結(プロフ) - 碧みんくさん» コメありがとうございます！そしてむちゃくちゃ嬉しいお言葉！！頑張ります！葵みんくさんも応援しています(*'▽') (2015年2月4日 20時) (レス) id: 88d69550ce (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：実結 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/minoko2
作成日時：2014年5月5日 0時
