私は前に進み続ける。

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陽葵side

「陽葵。前へ。」

「はぃ。」

自分でも驚くくらい震える足に

情けない声。

不安がありありと出ていた。

一歩前に出る度に、何度も崩れ落ちそうになった。



「乃木坂の2代目キャプテンを努めさせていただく白石陽葵です。



前に出た瞬間に頭の中が一気に真っ白になって、

言おうと思っていたことを言えなくなった。

「えっと··玲香の卒業の話を聞いた頃から話は貰っていて、

　何回も話し合って、何ヵ月も真剣に悩んだ上で、決断しました。」

不意を突いて出てきた言葉は在り来たりなもだった。

こんな言葉の羅列じゃみんなを不安にさせてしまう。





「えっと··この中には私より年上の人が沢山いると思うし

　実際何人もいます。

　自分より年下の人についていくのは難しいと思う人もおると思うし、

　何で陽葵なの？って思う意見もあると思うし

　あって当然だと思います。」


私ってこんなにマイナス思考だったっけ？

そう思うほどに、負の言葉しか出てこなかった。

「それでもこの決断に至れたのは、

　乃木坂が大好きだから。そして、皆さんのことが大好きだからです。」


これは、揺るぎない私の本音。



「私は玲香と同じようには、できないかも知れないし

　玲香と同じ色にはなれないかもしれません。

　グループをうまく纏めらるかわからないし、

　今の私の実力ではきっとできません。

　みなさんにも沢山迷惑をかけてしまうかもしれません。

　まだまだ未熟者な私ですが、精一杯頑張りますのでっ！
　
　どうか応援のほどよろしくお願いしますっ！」


　
鼻の奥がつんとして、不覚にも泣きそうになった。

それを誤魔化すために頭を深く下げた

その頭上には暖かい拍手が降り注いでいて、


ついにはこらえられずに涙が溢れた。

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