大正浪漫に咲く恋 〈雪〉

■私とタツの異なる気持ち？ ページ7

タツの実家である診療所は


町で有名な診療所らしく、患者さんも多い。



だから、仕事もめちゃくちゃ忙しい。
会計するだけ、だけど慣れない10円紙幣(その他紙幣)に少し戸惑いながらもこなしていく








患者さんが少なくなってきたので、少し背伸びをした。


「んんー...」



深「おつかれ」



「あ、タツ...」



深「疲れただろ？休憩してていいよ」



「大丈夫だよ、タツも忙しいでしょ？私、する事ないしこれくらいやらせて？」


一応経済学部出てるんだしさ...？
これくらいはできるし。
何より、これ以外することがないから。

特に今は現代に帰りたい、とは思わない
ブラック会社に行くなら
慣れない大正時代にいた方がましだよ...





深「そうか？でも、無理はすんなよ」



「うん、タツこそ無理しないでね」



深「俺は大丈夫だから、Aは自分の心配だけしてて」


そう言って、どこかへ行ってしまった






ぼーっとしていると
現代でいうカルテが受付に届いた

紙に書いてある患者さんの名前を呼ぶ



「あなた...タツくんの思い人？」

70.80歳くらいのおばあちゃんがそう私に尋ねた。

思い人って...今で言うカップルだよね



「まさか、そんな事ないですよ」


会計をしながら、そう会話する。




「タツくん、表情が柔らかかったから...
そうなのかなと思ったんだけどねえ」



「そんなに、柔らかかったですか...？」


普段から、ああいう表情だと思うんだけど...。

「あなたとタツくんの気持ちは違うかもしれないわね」



「...え？」



「ありがとうね、」



「あっ、お大事にして下さい...！」




私と、タツの気持ちは違う...？
どういう事だろうか。


深「A、菊江さんの言うことは気にしなくていいから」



「うわあっ！！って、え？」



深「あ、菊江さんはさっきのおばあちゃんの名前」



「うん、覚えてるよ
さっき会計したんだし...」



深「ま、気にすんな」



「...？？？」


少し、寂しそうな顔をしたタツの表情が
頭から離れなかった。








.









深「おつかれ」

気づけば、診療所の閉院時間になっていたらしい


「お疲れ様」



？「タツー！！」



深「はーい？」



？「見回り行ってくるから、Aちゃんよろしくね！」



深「はーい」



「見回り...って？」



深「常連さんのところに行って、様子を見るんだよ」



...ってことは？
今日、タツと2人きりってこと...？

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