大正浪漫に咲く恋 〈雪〉

□貴方を忘れない ページ39

現代に戻ってきた。



でも、もう昔に戻ることはないと思う




亮平と現代で、巡り会う約束をしたから。


...それに、蓮の事が心配だし





「まあ、まずは退院するところからだよね...」


頭と腹部はだいぶ痛みが引いてきたから
退院ももうすぐだろう。



目を開けると、蓮はいなくなっていて
お母さんが丸椅子に座っていた




「お母さんっ...」



母「A...意識が戻って、本当に良かったっ...
心配したんだから...早く治して、退院しようね」



「うんっ...」





3日後、退院することになった。

私の免疫力が高かったのか、かなり早めの退院


これからも通院は必要だけど
とりあえずは家に帰れることになった









数日ぶりの家に帰った



リビングに入ると、見覚えのない一枚の紙



Aへ
と男性らしい文字で書いてある


...蓮からの手紙、だろうか



私はその手紙に目を通した




Aへ

この手紙を読んでくれてるってことは
退院したんだね、おめでとう

いつ思い出すか分からないから書いておきます。
Aが事故に遭う前、俺は1回Aに告白したんだ
その時も、冗談だよねって...言ってはなかったけど顔に出てたよ


本当の事を、書いておきます。
Aが大正時代に戻ったのは俺がそうしたから
亮平たちと出会ったのも...全部、俺。
今思えば、せこい技使ったなと思ってる
...結局は好きな人すら守れなかったから
何してんだよって感じだけど。



これから俺は、刑務所に行きます
自分の犯した罪...麻薬で逮捕されたから。
本当に、馬鹿だよな...笑

正直、いつ出てこれるか分からない
中毒になって刑務所の出入りを繰り返すかもしれない
だから、Aは俺のこと...忘れて下さい。
Aには、幸せになってほしいから


幼馴染として、約20年間ありがとう
そして最後に、俺はずっとAの事を愛してます

蓮






「蓮っ...」



蓮の抱えていたもの、全てが分かった。
そして、もう会えないかもしれない、ということも。




「...実は、記憶戻ってるんだよね」


3日前、現代に戻ってきた時に記憶は戻っていた
...だから蓮に告白されたことも覚えている






「嬉しかったよ...」


まさか、私のことを好きなんて思っていなかったからびっくりしたけど...嬉しかった





「蓮...でも、私は蓮を忘れることなんて出来ないよっ...」





ずっと、隣で支えてくれた幼馴染を忘れるなんて...


私はしばらく、リビングに立ち竦んだままだった。

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