大正浪漫に咲く恋 〈雪〉

■姿を消した ページ33

また大正時代に戻ってきた。

でもひとつ、前と違うことがある






私たちの前からラウールが姿を消した


どうやら、気づけばいなくなっていたらしく
誰も行方を知らないらしい






深「くそっ...なんで見つかんねえんだよ...」



宮「タツ、1回落ち着こう」



「...」


なんとなく、だけど...
私を刺したから行方を晦ましたのかも、とか
都合の悪い解釈ばかり頭に思い浮かぶ。





...亮平も未だに会っていないし。



岩「...A、顔色悪いけど大丈夫？」


少しずつ、心を開いていってくれたひかるが私にそう言う




「うん、大丈夫...」



向「無理したらあかんで！」



渡「それにしても、謎だよな
なんでいなくなったんだ...」



「...っ」


その時、ズキッと頭が痛くなった





岩「Aっ...！！ちょっと、横になろう」


私の異変にいち早く気づいてくれたひかるがそう提案してくれた




「...うん、ごめん」





一瞬、景色がフラッシュバックしたような気がするんだけど気のせいかな...






深「...もしかしてだけど、Aさ...ラウールとなんかあった？」


ビクッ



その言葉に分かりやすく反応してしまう私。





深「...あったんだな。話せるところまで、話してほしい」



「...うん、わかった」




横になったまま、あの時のことを話していく





深「...は？本気で言ってる？」



「うん...」



渡「ラウールはそんな事しないだろ」



岩「...じゃあ、Aが嘘ついてるって言うのか？」



渡「...」



「傷口、見る？...って言ってもまだ私も見てないんだけどね」



深「...場所は？」



「腹部だから大丈夫、見せれるところ」


ちょっと生々しいかな...と思ったけど
ショウに納得してもらうにはこの方法しか思いつかなかった




服を捲ってみんなに傷口を見せた


「...あれ、思ったより縫われてる」

大体10センチほど、糸が縫われていた




深「痛く、ないのか？」



「痛くないって言ったら嘘になるけど、目が覚めた時よりは全然まし」



岩「...ごめんな」



「なんでひかるが謝るの？
...ラウールは悪気があって刺したわけじゃないと私は思ってるよ」



渡「疑って、ごめん...」



「ううん、大丈夫。」



深「それにしても、どこに行ったんだろうな...」









そんな時、部屋のドアが開いた




ガラッ


？「ラウールが、見つかった！！！！」


息を切らして部屋に入ってきたのは
何日かぶりに見る亮平だった。

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