大正浪漫に咲く恋 〈雪〉

□もう、好きになれない ページ32

蓮に買ってきてもらったパンを食べる
それは、私の大好きな...メロンパン




「おいひい〜」



目「よかった。Aはメロンパン好きだったなーと思って買ってきた」



「でもカロリー高い物を食べるのはこれくらいにしとかないと...言われそう」



目「病院食って質素っていうから？」



「...うん、あと単純に太りそう」



目「Aは細いから大丈夫
もっと太ってもいいくらい」



「そんな事ないんだけどね...」


...なんか、変。
普段は素っ気ないのに
今日はやけに優しい気がする









「ねえ」


お互いパンを食べ終わって、
蓮が丸椅子に座った時、私は尋ねた



目「ん？」



「何かあった...？」



目「何か、って？」



「今日すごい優しくない？...違和感なんだけど」



目「そう？...あ、俺がAのこと好きだからじゃねえの？」




...私のことが、好き？






「いきなりどうしたの笑笑」


好き、とか蓮に言われたことないし。





目「冗談だと思った？」



「うん。冗談でしょ？」



目「さーどうだろな」



「え、なに教えてくれないの」



目「ま、考えてみてよ
...本気なのか、冗談なのか」


そう言った蓮は少し傷ついた表情をしていた




「私的には、冗談の一択」



目「...なんで？」



「これで本気だったら、ごめん。
...だけど、私は、蓮のこと諦めたから。
もう好きになる事は、ないと思う」


だいぶ直球で言っちゃったけど、大丈夫かな...
でもこれは、紛れもない私の本音で。




目「...そっか」



「...蓮？」


さっきまで目が合っていたのに逸らされる




「ごめん、言いすぎたよね」



目「...いや、大丈夫。
それが、Aの答えなんだろ？」



「...うん」



目「俺は、完敗って事か...」



「...え？」



目「いや、何にも。...ちょっとコンビニ行ってくる」




さっきも行ったんじゃ...
そう言おうとしたけど、背を向けた蓮の背中が震えていて言い出せなかった。









.









〜蓮side〜


コンビニに行くと言ったものの
訪れた先は病院の屋上



「結局俺は、自分の首を絞めてるだけじゃねえか...」




誰もいない中、俺は独り言を零した







「まじで俺、だせぇ。...最低だし、"あいつら"に負けたし...」









風が吹く中、呟いた







「A、ごめん。どうか、幸せになってほしい...」









この後、再びAが眠っていたとは知らずに...

■姿を消した→←□考えても分からない謎

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す