大正浪漫に咲く恋 〈雪〉

□帰らないと ページ13

「いった...」


頭が痛くて、目が覚めた





キョロキョロと辺りを見ると、見覚えのない部屋


「ここどこ...」




それにしても、頭が痛い。
なんでこんなに痛いんだろう
私どこかでぶつけたっけ...





...あ。
確か、お風呂掃除手伝ってて滑って...頭ぶつけた...
というか、夢じゃなかったんだ。

だって、こんなにも頭が痛い
普通の人なら脳震盪を起こすレベルだろう
石頭(なのかな)でよかった...









ガラッ




？「A、起きた！？」



「あえ？蓮...？」


なんで、蓮が...ここに？




目「メッセージ送っても既読つかないし
インターホン押しても出ないし
合鍵で開けたら倒れてるし、心配するだろ」



「私、また倒れてた？」



目「うん。もう心配させないで...」


蓮ごめん、今の私にそれは約束できない
大正時代で過ごすのもいいかも
なんて何処かで思い始めてる自分がいる...




「...ごめんね
ところで、今何時...？」



目「16時くらい」


16時ってことは...
私が昔にいても現代は普通通りに時間が過ぎるんだ。
ということは、私が現代にいても昔は普通通りに時間が過ぎる。


まずい、それはまずい。
熱は測ってないからわからないけど
ショウは熱があるはず
病人を、放っておけない...

戻らなきゃ、大正時代に...


でも、自宅でなければ他の人に迷惑をかけてしまう。
なるべく自分のベッドで寝て昔に行きたい


「...ここ、どこ？」



目「会社の保健室」


...最悪。終わった。
正直、今すぐにでも家に帰りたい気持ちが高まってきている



「ねえ、私帰っていい？」



目「は？誰が1人で帰らせるかよ」



「お願い...！！」





？「あれ、Aちゃん起きたんだ」



目「あ、佐久間くん。Aさ、一人で帰ろうとしてんの。倒れてたのに、だよ？」



佐「え、絶対危ないよ一人で帰るとか」



「無理なら...力づくでも帰るっ！！」



幸いなことに、荷物はベッドの横に置いてあったので
荷物を持って保健室を飛び出した



目「おいっ、A！！」



佐「Aちゃん！！」


後ろから蓮と佐久間くんが追いかけてくるのを振りきってとにかく走った。









「はあ...はあ...」


なんとか駅に着いた頃には息が苦しかった




後ろから蓮と佐久間くんがいないことを確認し、改札を通ろうとした時。

突然の頭痛に私はその場で崩れ落ちた。




目「Aっ...！！」


最後に聞こえたのは、誰かの温もりと蓮の叫び声だった...

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