大正浪漫に咲く恋 〈雪〉

■何かを抱えてる ページ11

ショウに手を引かれ、外に出た
今思えば、この時代で外に出るのは初めてな気がする

お店はレンガ造りが多いんだな...
とか建物を見ていたら



渡「おい変人、ちゃんと周りを見ろ」



「あ、ごめん...」



渡「あと、俺の家ここだから」

...銭湯、なのかな







少しこぢんまりとした建物に入ると、
たくさんのお客さんがいた


「私、邪魔じゃない...？」



渡「邪魔じゃねえよ、...あと昼になったら掃除手伝ってもらうから」



「うん、元からそのつもりだよ」


無断で泊まらせて貰うのは気が引けるし...
というか、それまで私は何をしていればいいんだろう



渡「お前は何処か行ってきたらいいんじゃねえの」



「...え」



渡「昼になるまで2時間くらいある...暇だろ」


確かに、暇だ。
でも私はここで育ったんじゃない...
もちろん土地勘も無いわけで。

「ううん、ここにいるよ」



渡「...ふうん」


何を、しようか。
いるって言ったのはいいけど、することが無い...





「あ、そうだ。
ショウに質問していい？」



渡「は？」



「暇だからさ、付き合ってよ」



渡「仕方ねえな」


どうやら、私のくだらない暇潰しに付き合ってくれるみたいだ



「じゃあ、いくね。今何歳？」

私の予想では、私と同じか...少し下か。



渡「普通、聞くか？」



「うん、暇潰しだから」



渡「俺の歳を聞いたって何にもならないだろ」



「気になったから聞いた。それじゃ駄目かな」



渡「...はあ。...27」



「え！？！？」



渡「Aは？」


あれ、名前呼んでくれた...



渡「Aは？って聞いてんだけど？」



「あ、私は23だよ」



渡「俺より年下か」



「今年24になる」



渡「俺は今年で28だから...4歳差か」


思ったより上だった...









.









その後も、どうでもいい質問を繰り返して。
気づけばお昼になっていたらしい



渡「おし、やるぞ」



「うん、って私は何すればいい？」



渡「教えるからついてきて」






ショウについていくと、そこは男風呂だった

「待って、私女だよ？」



渡「それくらい分かってるよ
あと、いつも俺が女風呂も洗ってるから」



「もしかして、今まで一人でやってたの...？」



渡「悪い？」



「いや、そういう事じゃないんだけど...
大変じゃなかったの？」



渡「慣れてる作業を繰り返すだけだから、大変も何も無い」



「...そっか」




直感だけど、ショウは何か大きなものを抱えてる気がした。

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