「思ひつつ 寝ればや人の〜/第一話」 ページ6
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糊の利いた布の感触、消毒液の匂い。
瞼の向こう側がぼんやり明るくなっていることに気づき、ゆっくりと目を開けた。
…夢。
「んあっA兄ィ起きたん？おはようさん♪…ってゆーても、もうすっかり夜なんやけどな？」
困ったような笑顔が真っ先に僕の目に映った。
「…かげくん？僕…？」
「A兄ィ、レッスンが終わって着替えた後、殆ど倒れるように眠ってしもたんよ。慌てて保健室に連れて来たら、ただの疲労やって。」
「？！…お師さんにはッ…お師さんは知ってるの。」
話を聞くとお師さんはレッスンが終わった後すぐ手芸部に籠もり、それから出てきておらず、かげくん自身もずっと僕の側にいた為このことはまだ伝えていないらしい。今はあまりお師さんに迷惑をかけたくないから黙っていてほしいと頼むと、あんまり無理はせんといてなと言いつつ了承してくれた。
「お師さん最近厳しいもんなぁ〜。実は俺、結構心配なんよ。お師さんもう、何日も食事取ってへんし、A兄ィも倒れてまうし…」
…かげくんの言う通り、お師さんはドリフェスへの参加を決めてから、より一層厳しくなった。精錬して、研磨し、さらに純度の高いライブを目指すため、お師さんは一人で全てを背負い込み取り憑かれたように作品を生み出している。
そのなかに僕たちが入っていける隙は1ミリもない。僕たちに出来ることはただ必死に、お師さんの望んだ通り、操られるまま動く努力をすることだけだ。実際、それによって個人の能力が向上していることを身を持って感じていた。
今回のライブは今まで僕らがやってきたものとは違う。他のユニットと対戦する形式のものだ。
こっちのファンだけじゃない。当日は向こう側のファンも来ると思う。他のユニットになんて興味がないって、見るに値しないって言われるかも知れない。そんな俗人たちは、圧倒的な力で黙らせればいい。綿密に計算され尽くした高尚な芸術を、一方的に浴びせればいい。
お師さんの驚異的な才能と作品を見たら、一瞬で考えが変わる。そして僕らがお師さんの手足になって、その隙が出来た心臓に剣を突き立てればいい。
今までもずっとそうしてきたんだから、大丈夫だ、きっと。でも、だけど、本当にそれでいいのだろうか…？
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みん。(プロフ) - 朱憑（さぶ）さん» コメント下さりありがとうございます！！好き、何周もしているとのこと、感無量でございます！！！そして御指摘の通り仁兎です！ハチャメチャに誤字しておりました！すぐに修正しました気づいてお教えて下さりありがとうございます！！！ (2023年2月21日 0時) (
レス) id: febc79156f (このIDを非表示/違反報告)
朱憑（さぶ） - この作品好き過ぎて何周もしています笑 ところでなのですが…なずな君の苗字。二兎ではなく仁兎だと思います…！ (2023年2月19日 16時) (レス) @page14 id: 369ab47d46 (このIDを非表示/違反報告)
みん。(プロフ) - おかゆさん» コメント下さりありがとうございます！この作品がおかゆ様の目に止まったこと、そしてページを開いてお読み下さったこと、嬉しい気持ちと感謝で今胸が満たされております！おかゆ様の心にジャストミートできて良かったです！！ (2022年12月27日 23時) (レス) id: febc79156f (このIDを非表示/違反報告)
おかゆ(プロフ) - Valkyrieの作品を探していたらたまたま見つけ読んでみました。雰囲気などがドストライクでした。好きです。これからも更新頑張って下さい。 (2022年12月27日 22時) (レス) id: 4ef80cb4cb (このIDを非表示/違反報告)
みん。(プロフ) - 百華夜さん» ぬわぁー！まさかコメントを戴けるとは思っておりませんでした！！お読みいただきありがとうございます、そして励ましのお言葉心から感謝致します！！ (2022年12月27日 16時) (レス) id: febc79156f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みん。 | 作成日時：2022年11月24日 1時
