６：３２の君。【花巻貴大】

１８ ページ32

「A？」

「何ー？光ちゃん。」

「その浮かない顔何？」

「今日見かけなかったの。」

「は？」

「だから…」



話を聞けば何でも今日はいつも見かける彼を見かけなかったらしい。

そのせいでこのテンション。

こうなったAは本当に面倒くさい。

男女関係になると親友のアタシからしてもクズかよと思う思考をすることがしばしばあるというのに普段は何でこうも子供何だ。


大方お兄さんに甘やかされた結果がこれなんだろう。

全く…学校生活の面倒を見ているアタシの身にもなって欲しい。

何てこと本人は勿論お兄さんにも言えるわけもない。

そんな思考を巡らせている間もAのテンションは下がり続けるわけで…



「あぁ、もしかしたら彼女でも出来てお泊りとかしてたのかな？それとも…」



まず一つ、何で彼女がいなかった事前提になってるんだ。

それは流石にいつもの彼に失礼だろう。

全く…仕方ない親友を持ったもんだ。



「あー…そんなテンションの低いAに良い知らせ。忘れてるだろうから一応言っておくけど今日合コンだから。つまり？」

「合コン…！お肉！」

「そういうこと。」



肉に釣られる親友とはいかがなものかと思うがなにはともあれ良かった。

大分機嫌が良くなった。



「お肉〜♪お肉〜♪お肉を食べればおっきくなる〜♪」



それは変な歌まで歌い出すほどに。




「光ちゃん！お肉楽しみだね！」

「うん。ほら、A。授業始まるから。」

「はーい」






そして今日もアタシはこんなしょうがない親友の世話を焼く。









…A今日提出のプリント持ってきたかな。

１９→←１７

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す