運命とゆう言葉があるならば

34 T.M side ページ35

、


トイレで用を足しながら
さっき見た可愛い顔を思い浮かべる

なんであんな見つめてくんの？
なんであんな嬉しそうにすんの？

近くに座った瞬間の喜んだみたいなあの顔が俺を混乱させた

すぐ探せなかったけど、近くにシゲもいるんでしょ？
そんな風に俺をたぶらかして…
違うとわかってても期待しちゃうじゃん

思わず頭なんて撫でちゃって
俺が触れると照れたみたいに頬を赤らめてさ

ほんとなんなんだよ


そんな事をあーだこーだ考えてたら
トイレにシゲが入ってきた

間髪入れずにAちゃんがすきなんだろって聞かれて
俺はめちゃくちゃに動揺してしまった
やっぱさっきの見てたんだなって
俺の女に手出すなよって釘刺しにきたのかと悟った

でも大丈夫
まだめちゃ好きだけどそのつもりはない

だからそう言ったのに
イラついたシゲの声が聞こえた

「え、ごめん」
シゲって意外と嫉妬深いんだな
Aちゃんの胸見たこととか言ったらぶっ殺されそうだ

しかしシゲの怒りはそこではなくて

「俺、Aと付き合ってないけど」

「はぁ？…え？なんで？」
いや意味わからん
両想いなら早く付き合えよ何怒ってんの

「なんでって、Aが俺を好きじゃないから」

「いやいや、そんな悲観になんなって。ちゃんと話せよ」
俺はてっきりあの日に2人は想いを伝え合って
それで付き合ったんだとばかり思ってた
Aちゃんもきちんと向き合うって言ってたのに
結果話してないんだな

「ふられたんだよ。Aに」

「…へ？」

「言わせんな」

「なんで？え、だって…」

「なんでなんでって子供か。まっすーって意外と鈍感なのな」

Aが可哀想だからちゃんと向き合ってやれよ
シゲはそう言い残しトイレから出て行った

…？俺、鈍感？
いやけっこう人の気持ちには敏感な方だと思ってたんだけど
Aちゃんが可哀想？
どおゆう…え？そおゆう？そおゆうこと？

Aちゃんって、俺のこともしかして

そう考えたら、彼女の行動や嬉しそうな顔をする意味が急にすんなり腑に落ちてきた

いや待って
なにそれ
めっちゃ可愛いじゃん

理解した途端
血が一気に巡ったみたいに
全身が脈打った

好意を向けられてると知ると
どうしようもなく彼女が愛おしくて

唐突に会いたくなって
俺はAちゃんの隣の席に戻った


嬉しそうに目を輝かせたのを見て
また胸がキュンとする

俺が近くに来た事がそんなに嬉しいですか？

ああもう
今すぐ抱きしめたい


、

35 T.M side→←33

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す