空はどこまでも青くて

第35話 ページ35

T.M side






ーー1時間後くらいにシゲが迎えに来るから

「わかった、家で待ってる」


チラリと運転席のそいつを盗み見る

「あぁ、うん、、じゃあ、後で」



電話を切るなり

手を伸ばしてくるそいつ

さっきまでの穏やかな気持ちはどこへ行ったのか

一気に緊張する

「1時間後？なら少し時間あるね、上がっていくよ、いいでしょ？」

そうやって頬を撫でられる



呼吸が浅くなるだけで何も言えない俺に
それが了承したと捉えたのか
駐車場に停めて

当たり前みたいに一緒に降りる






家にこいつを上げたくない

だけど、どうすることも出来ない弱い自分






部屋に散らばった虹色を見て

彼は歓喜の声を上げた


「家でも僕を感じてくれてるなんて、嬉しいなぁ！」

早く時間が、過ぎればいい

心で念じていると





「ねぇ、聞いてる？」



靴を脱ごうと前かがみになった俺を壁に押しつけた

ヨロけながらも体制を整えると

すぐ目の前にいる奴

顔の両側に俺の両手も一緒に縫い付けられて

俺の足の間に片足を滑り込ませる



「俺の事話したら、もっと酷いことしちゃうからね？
今だって、家から一歩も出したくないのに、優しさで自由にしてあげてるんだから、感謝してほしいなぁ」


どこが自由なのか

なにが自由なのか


また頭が痛くなってくる



「わかった？」
そうやって満面の笑みを浮かべて



俺の唇をペロリと舐める

咄嗟に固く閉じた唇
嫌がるように顔を背ければ

はぁっと耳元で熱い吐息が聞こえた



ゾワっと全身が泡立つ

耳にしているイヤーカフを舐められて

「ゃ、、だっ、、、」
小さく抵抗する

左右に振った頭を掴まれて壁に押し付けられて
ガンッと衝撃が走った



顎を掴まれて無理やり口を開けられて
そいつの指が入って来て

舌を弄ばれ
掴まれて

舌の付け根がチリッと少し傷んだ

「ん"っ、、、」


舌、切れた、、

自由になった手で抵抗するけど
何にもならなくて



指を抜かれて、
俺の唾液がそいつの指と俺を糸になって繋げた

本当に愛おしそうにその指を舐める


そして
近づく奴の顔から必死で逃れるために

「わかった！わかった、言わないから！何にも、、わかったから、、」



涙声になりながら早口に告げると

満足したように



「そーぉ？良い子だね！貴久くんは！」

甲高く笑っていた







「貴久くん、僕の事、、好き？」









「ん、、好き、、、だよ」







涙が流れた



、

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