空はどこまでも青くて

第31話 ページ31

T.M side









あれっ、、
この指輪、こんな大きかったっけ、、？

右手に付けたシルバーのリングを
左手でクルクル遊ぶように回す




「貴久くん？」

声を聞いただけで身震いする体を抑えて

呼ばれた方に向かう

未だに慣れない、自分だらけのリビング

目がチカチカする

「何してたの？遅いよ！ねぇ、貴久くん、歌ってよ！僕だけのために！」


シャワーを浴びたから

前髪の先から雫が落ちて冷んやりする





歌、、

少し考えて、静かに歌い出す
もはや操り人形だな、って思いながら





ーー川の流れにゆられ流れる

名も知らぬ花びら




目を閉じる

浮かぶのは、メンバーの顔

俺が歌い出すと、自然とみんなこっちを向くんだ



ーー遠き懐かし日々の名残は

今も変わらずあれど

手をのばせば消えてゆく

あなたの香り





涙が溢れる

メンバーが歌う部分を、今日は1人で、、

俺はみんなで歌うのが好きだよ、




ーー愛しくもあなたは見えず

見えぬまま微笑みいたる

春の花それは麗しき

風に舞うもののあはれと





声が掠れる

歌い終わって、静かに目を閉じた






「わぁー！僕だけの歌だ！」

目の前ではしゃぎ立てる、憎い男

「お前のためじゃねぇよ」

ボソッと呟けば

急に人が変わったみたいに
素早くこちらに向かって来て

俺の肩袖を掴んで力一杯壁に押し付ける

壁伝いにある食器棚が、
ガシャン！と嫌な音を立てた

何枚か割れた気がする



「約束したよね？俺だけの物になるって」



怖い
声が出ない



「あーぁ！今日は優しくしようと思ってたのに！貴久くんのせいだよ？」

耳元で囁かれて

体が強張る



腕を掴まれて引きずられながら寝室へ

乱暴にベットに投げ飛ばされた



「痛っ、、、ちょっ、と、待って、！」


「はぁ？誰に口聞いてんの？」



精一杯抵抗してるのに

いとも簡単に両腕を捕まえられて

グッと頭の上に引っ張られて

ベットに繋げられる



無力すぎる自分を呪いたい



「やだっ、やめて、、お願い、お願いっ」




お願い、、、助けて









ーーーーーーーーーー


気怠い体を起こして

いつの間にか外されている両手首を摩る

跡、ついちゃってるな






「はぁっ、、、、」





次から次へと流れる涙




こんな地獄、いつまで続くんだろ、、









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