いないと知っても (ページ3)

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Ⅱ ページ3

俺には幼馴染がいた。

町田美玖という女の子だ。

彼女のお母さんと俺の母さんが仲かよかったらしい。

よく、小さいころ遊んだ。

そんなある日、美玖が急に様子がおかしくなった。

まずいと思って、俺は母さんを呼びに行った。

美玖は病院に運ばれた。

そして、診断された・・・。

「長くは生きられない病気」だと。

生きられて、１３年くらいだと。

それを、母さんと美玖の母さんが話しているのを俺は聞いてしまった。

聞く気はなかったのだが。

彼女自身は、そのことを知らないから今までと同じように接することを決意したんだ。

小学校に入った。

体育の授業があった。

一斉にみんなが走り出した。

でも、彼女はそんなことはできなかった。

もちろん、運動会やクラスマッチも出れなかった。

医者に激しい運動はだめだと言われていたからだ。

よく、こう言っていた。

「一度でいいから、みんなと一緒に走ったり、泳いだりしたいな。」

その時の、切ない表情は今でも忘れれうことが出来ない。