萌と私 ページ27
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「あ、萌！ここにおったん。そろそろ着替えた方がええで」
「うん、分かった。ありがとうな」
出番が終わり、この後のトークイベントの為に漫才用の衣装に着替えた私は、未だにコントの衣装でステージのモニターを見つめていた萌に着替えるよう声を掛け、メイクを付け足しながら戻ってくるのを待っていた。
あれからまた1週間くらい経って、1度キャンセルを持ち掛けたあの番組の収録は明日に迫っていた。
その事前打ち合わせの効果もあってか、いわゆる“こじらせ女子”に該当する私は1週間前のことを思い出しては色々考えてぼーっとして、なんてことを毎日繰り返している。
今も、リップの色を濃くしながら「もうちょい唇が小さくて薄い方が女の子らしくて可愛ええよなあ」なんて、思わず溜め息をついてしまった。
「はい、どうぞ」
「びっくりしたー…ありがとう」
自分の世界に入り込みかけていたが、萌が目の前にコーヒーを置いてくれた時の「カタン」という音が、現実に引き戻してくれた。
「あー、やっぱりもう出番終わってもうたか」
「あっ、ごめん。声掛けない方がええかとも思ったんやけど…」
「愛香が気にすることやないよ、むしろギリギリになるところやったから助かったわ。
出番終わってすぐ着替えなかった私が悪い」
萌に着替えるよう促したときステージに上がっていたのは、私らよりも1年後輩のコンビ。
萌は、そのツッコミの子に1年くらい前に告白され、それからずっとアタックされているのは同じ劇場に出てる芸人の間では周知の事実で。
萌は兄さんのことが好きやったからその子の気持ちには応えられない日々が続いていたけど。
モニターから目を離さんかったってことは、やっとその子に向き合う覚悟が出来たんかな。
「萌、やっと一歩前に進めたみたいやな」
「うん。見る人からしたら、私が都合のいいように遥斗くんを使ってるようにしか見えないかもしれないけど…」
「それでも、遥斗くんは嬉しいんちゃうかな。萌の兄さんに対する気持ちに気付いてた数少ない人達のうちの1人やし、あっちもあっちで覚悟は決まってると思うねん。ええ子やとは私も思うし」
「愛香、ほんまにありがとうな。でさ、愛香は…」
「愛香ー、萌ー！そろそろスタンバイ！」
少しスッキリしないまま、イベントは始まってしまった。
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もやし(プロフ) - Sara_nさん» 返信遅くなりすみません。一通り確認してみたのですが、私の端末では最後まで名前変換が対応していたので改善が出来ず……申し訳ないです。過去の更新の仕方に何か問題があったのかと思います。ご指摘ありがとうございました。 (2022年11月27日 16時) (
レス) id: d1393d657d (このIDを非表示/違反報告)
Sara_n(プロフ) - 途中から名前変換が対応してません… (2022年11月19日 8時) (レス) @page28 id: 90a98b993e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もやし | 作成日時：2022年9月3日 2時
