不運なのはどっち？ ページ13
.
「嘘、やないよな？
だってこないだ他の先輩のYouTubeで言っちゃったばっかやん、だからオファー来たんやろ？」
「嘘じゃないよ」
今日が終わるまでは。
.
東京から帰った日の夜、兄さんから電話があった。
「お疲れ様です」
「お疲れ、てか最近俺に対して冷たくない？」
「イタ電は受け付けてないです、切りますよ」
「そんなんやから可愛げがないねん」
何が言いたいん、ほんま。
用件が無いなら切らせてくれ。
「あーそういえば、今日兄さんのことでTwitterちょっと盛り上がってたの知ってます？」
「俺、大半の責任はお前にあると思ってんねんけど。せっかく飲もうや言ってんのに帰るの早すぎんねん」
「そりゃあ、あれ以上大切な相方を汚い手で触ってほしくないんで」
兄さんはどうやら私が介抱の手伝いを断った後、萌を持ち帰れなかった悔しさからなのか2軒目でアホみたいに飲んでホテル街をうろつき、その辺にいた女性に抱きついていたところを撮られTwitterに流出。
簡単に人生が壊れてしまう現代のシステムに若干の怖さを覚えたものの、当然の結果でしかないだろうと思っていた。
「分かったよ、もう萌を狙うのは辞めるし、お前らとも適切な距離をとる。
その代わりさあ…お前、したことないんやってな」
「だったら、なんですか」
あくまでも兄さんは“芸人として”私達を可愛がってくれてる部分もあるから、ちょっと前に配信されたばかりの先輩のYouTubeにゲスト出演した際のうっかり発言も、この人は覚えていた。
「俺、そっちの方がええわ。
1週間後大阪行くから、お前ホテル来い」
「はあ？嫌ですよ、なんでそうなるんですか」
「嫌やったら、萌でもええけど」
「萌のことナメんのもいい加減にしてもらっていいですか」
「結婚する前なら、萌は養成所時代から何回も抱いてる。その時に撮った写真、いつでも出せんで」
そら、1回抱かれてあんなに優しくされたら、萌も好きにならずにはいられへんわ。と、一周まわって冷静になる。
途端に頭をガツンと殴られた感覚に襲われ、同時に「あーもうどうにでもなれ」とも思った。
「分かりました、来週1回だけです。約束ですよ」
「約束するって。また連絡するわ」
咄嗟の判断で電話の一部始終を録音出来たのは良いものの、妄想とはかけ離れた最悪の卒業シチュエーションに身体を震わせる。
どうしよう、私。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 281人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もやし(プロフ) - Sara_nさん» 返信遅くなりすみません。一通り確認してみたのですが、私の端末では最後まで名前変換が対応していたので改善が出来ず……申し訳ないです。過去の更新の仕方に何か問題があったのかと思います。ご指摘ありがとうございました。 (2022年11月27日 16時) (
レス) id: d1393d657d (このIDを非表示/違反報告)
Sara_n(プロフ) - 途中から名前変換が対応してません… (2022年11月19日 8時) (レス) @page28 id: 90a98b993e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：もやし | 作成日時：2022年9月3日 2時
