1歩ずつ (ページ39)

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39大倉side ページ39

今日の見舞いは俺が担当の日

強い抗がん剤にしてから約1週間

相変わらずやっぱりグループLINEを見る感じでは
ずっと寝とったとかしんどそうやったとか吐いてばっかりやったって書いとってこの1週間体調がいい日なんてなかったっぽい

ヤスに会えるのは嬉しいけどそんな弱々しいところを見るのは辛かった

ｺﾝｺﾝ

ノックしてドアを開ける

「あっ、おーくらぁ？」

ヤスは前よりも細なっとって髪の毛もだんだん抜け落ちてきてた

「よっ。ヤス起きといて大丈夫なん？」

「今日はなぁ…まだ元気やねん…」

その言葉にほっとして椅子に腰かける

「おーくら仕事はぁ？」

「今日はなオフやねん。」

そっかってゆって少し安心した顔をするヤス

みんな仕事で忙しくておれて2時間とか言うてたし多分不安やったんやろな…

そんなヤスを見てるとすごく愛くるしい

「そんでな、丸がさ～」

「ごめっ。おーくらそこにある桶とってくれん…?」

たわいもない話をしとったら急にヤスが口元抑えて言った

俺も慌てて横にあった桶をとって渡す

「ゔぅ。」

少しうめき声を出してからヤスは嘔吐した

話に夢中でヤスのこと気にかけれてなかった

慌ててヤスの後ろに行って背中をさする

「辛いなぁ、辛いなぁ出してまい。全部」

そんでしばらくして

「…ごめっ。もーだいじょうぶ…」

「そか、じゃあ口ゆすごか」

洗面台に誘導して口をゆすがせる

こんなんが毎日あるんやと思ったら苦しくなる

ヤス自身元気やったとしても身体はやっぱりいつも通りやねんな

ヤスはベッドに戻るなり

「おーくらさっきの話の続き聞かせて」

ってしんどそうながらも俺の話を聞こうとしてくれとった

「いや、今日は帰るわ。もう寝？」

すごく申し訳なさそうに

「ごめんなぁ」

って謝ってきた

いつもなら大丈夫。って言うヤスがわがまま言わへんかったのは想像以上のものやと改めて痛感した

「…また近いうちにくるわな」

病院にきて2時間もせんうちに出る

こんなしんどい思いしてるねん。
これで治っていってなかったら…

どうかヤスが元気な姿をもう1度見せてくれ…