理想怪奇「死竜魔」 (ページ29)

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第四章　【冷酷なる竜の召使】ページ29

さらに花はひとりでに結晶弾を飛ばしてくる。身を引いてかわすついでにとフォークで花を刺すが、それが消えると同時に結晶弾が宙を彩る様に飛んでくる。これには跳んでかわすしかないかと考えたルナディは足に力を込めたが、何か違和感を感じる。ルナディの右足を何本もの朝顔のツタが絡まっているのだ。

「くそ、この程度で……！
　アビリティ変換、『地竜牙突』ッ！！」

　相手を起点に大地の柱が突如として出現する。これによって足に絡みつくツタを無理やり引き裂いて見せた。その柱は花の弾幕を遮り、受け止めていく。
　柱を避けて札が飛んでくる。その札には『爆』の文字が書かれており、柱に当たると爆発を引き起こした。花坂は地面からやってくる地竜の牙をかわし、次々と札を投げ飛ばす。

(でも、これじゃあ拉致が開かないわね……。こっちは既に一撃もらってる状況だし、これからどうするべきかしら……)

　花坂が攻略法を考える間に、札の爆発に巻き込まれたルナディが煙の中から出てくる。その顔は怒りに彩られており、逆鱗に触れられ怒り狂うかの様なオーラすら出している。

「ここまで時間を取らせやがって……お嬢への献上物風情が……、お嬢の為の贄になれることの喜びを理解できぬ、矮小なる下等生物が……！！
　アビリティ変換、『デストロイドアース』ッ！！」

　大地を彩っていた朝顔がアビリティ発動による地割れによって引きちぎられていく。割れた大地の奥から結晶弾が飛んでくるのを、柱に隠れていた花坂は結界用の札を使って足場を作り避けていく。怒り心頭の様子で花坂の方へと接近していく。

「用意は整った、あとは強者の生贄のみ。その贄として貴様が選ばれた！それなのに貴様はその名誉を拒み、あまつさえお嬢の邪魔立てをする！」

　増殖させたナイフとフォークを滅茶苦茶に投げ飛ばす。それらは結界の壁を跳ね返り、一瞬にして全ての弾幕が花坂を包囲した。

「その無礼を、死んで詫びるが良い！！」

　自身もナイフを手に、花坂の胸を貫いた。ナイフとフォークが彼女の体を刺す。