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第四章 【冷酷なる竜の召使】 ページ28

お札を投げ飛ばす。それを軸に花を象った結晶弾の束が形成された。相殺する様に皿を投げ入れるが、皿だけが砕けて結晶弾はシャボン玉が弾けた様にバラバラに飛んでいく。花の形を模した札たちが一斉に飛んでくる。

「アビリティ、『ジ・パーフェクター』!」

 相手がそう宣言すれば、自ら花の弾幕に飛びかかって花坂に接近してくる。当たっているはずなのに相手はビクともしない。アビリティブレイクさえ出来ていないのだ。その間にもナイフとフォークが飛んでくるので、花坂も気を抜いてはいられない。
 花の弾幕とナイフとフォークの弾幕のせめぎあいの中で、ついに2人は近距離での戦闘を強いられる。床には大量の陶器・ガラス片が散乱しており、それをブーツや革靴が踏み砕く音がする。
 受け流す事で理解する。男の一撃は先程の攻撃よりも重く、その威力は前回蹴りをくらったあの時とは比べ物にならないほどのものだ。“身体能力の向上効果をさらに上げる”。これがアビリティ『ジ・パーフェクター』の効果なのだろう。かわし、受け流していくものの花坂の息が上がり始める。

「所詮人間はその程度のもの。下等生物がお嬢の計画に牙を向ける事、万死に値する!」
(しまっ───)

 右ストレートの拳はフェイントだったのだ。それに釣られてしまった花坂は左フックでやってくる拳に対応できず、腹に受けてしまう。その衝撃は凄まじいもので、天井にまで吹き飛ばされて背中を打ち、重力で地面にへと叩き伏せられる。

「……傷を癒したのではなく、自身の身体能力を向上させる事で回復速度を早めたのか。成る程、身体能力向上ではなく『身体機能の向上』というところか。治癒能力の向上に加え、脳の回転速度の向上、機敏さの向上に五感機能向上……。人間にしてはよく考えられた能力の使い方だ」
「………何、勝ち誇った様に、分析してんのよ……」

 結界札の効果で威力は和らいでいるものの、血反吐を吐く様な姿でよろりと立ち上がる。彼女の手には何かの種が握られていたが、それを地面に落とすと種は中に入っていく。

「アビリティブレイクされるとここまで辛くなるんだったわね、忘れかけていたわ……。
 アビリティ発動、『地を彩る朝顔』ッ!」

 途端に地面は朝顔の花とツルに彩られた。朝顔の植物は割れた皿やグラスをも飲み込み、足場を悪くする。しかし花坂はその上を問題なく歩ける様だ。

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設定タグ:一次創作 , オリジナル   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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作者名:ミンミンゼミ31039 | 作成日時:2018年12月8日 22時

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