理想怪奇「死竜魔」 (ページ13)

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第一章　【影は光を喰らう】ページ13

魔剣を中心に結晶弾が飛んでいく。鏡は相手の方を向いたまま、光はやがてレーザーのように強まっていく。ユウトは逃げるように結晶弾を飛ばしながら距離を置こうと走っているが、もう十分に視認できる俺は魔剣を構えなおし、足に力を入れて相手の元へ走り出す。靴裏から魔法陣を出し、魔法陣は俺の足を弾くように前に押し出してくれる。跳んでいくように蹴り上げれば、俺と相手の距離が一気に縮んでいった。間合いに入れり、魔剣を横に振るって相手に一撃を与える。
　『光を叩き込む』。だからシャイニングドライブ。我ながらナイスネーミング。
　そんな訳で、相手は結界の壁まで吹っ飛び、背中を思いきり当てることになった。相手がそのままずるりと地面に倒れれば、結界はブザーを鳴らした。決着がついたという意味だ。

「俺の勝ち！これで良いんだよな？」
「あぁ……僕は一向に構わないよ。けほっ、けほっ。あー、痛かった」

　背中をさすりながらゆっくり立ち上がる。こうやってけろりとしている辺り、本当に妖怪なんだよなぁ。改めてそう思った。

「さて。負けてしまった僕は君がこの森にいる事を認めなくてはいけない。さぁ、勝者の願い事を聞かせておくれよ。できる範囲でならやってあげる」
「お、おう……。
　じゃあ、夢乃がどこに行ったか案内してくれ」

　するとユウトは少し眉をひそめ、考えるそぶりを見せる。

「……勝者のお願い事は聞く決まりだ。だが……ちょっと、いや“結構”危ない場所だよ。それでも行くのかい？」
「そんな危険な場所に夢乃が向かったっていうなら、どんな困難が待っていたとしても行かなきゃな。世話になってる身だし」
「……分かった。そこまで言うのなら、多分この先に向かっても問題ないだろう」

　ついて来て、と言えばユウトは歩き出す。手鏡をポシェットの中にへと魔法で動かし、魔剣を鞘に納めて相手の背中を追った。