理想怪奇「死竜魔」 (ページ24)

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第三章　【禁忌の修道士】ページ24

「……アビリティ、」

　魔剣を構える。
　俺を喰らい尽くそうとする竜のレーザーは、真剣に吸い込まれた。それを見てシスターは驚く。
　レーザーだけではない。結晶弾も、柱にある目も吸収される。それどころか、教会の明かりである蝋燭の火も、教会を照らす月の光も、あらゆる発光体および光が真剣に吸い込まれて行くのだ。

「……魔剣解放、申請」
『閃光剣ホーリィブレイドの魔力放出の申請を受諾。魔力、規定値に達しました。魔剣解放を許可します』

　魔剣の柄を力強く握る。
　その瞬間、魔剣は光を束ねて巨大な刃を形成した。それは教会の天井をも突き破らんとする巨大な光の剣。

「……あ、アビリティ変換、『主語教典』！」

　彼女が持っていた本が前に出ると、彼女を守るように何枚もの障壁が張られる。

「アビリティ発動ッ！
　『魔剣ホーリィブレイド』オォォーッ！！！」

　巨大な光の剣を振り下ろす。その刃は遂に教会の天井を突き破り、破壊し、光がそれらを塵にしても未だに解ける事はなく障壁にぶつかる。
　障壁に嫌な音が響く。ミシリ、ミシリとヒビが広がっていく。

「……これが、異世界の宝具……！」

　結界内に光が満ち溢れる。
　眩い光が収まった頃には、破れた結界とボロボロの教会、そして倒れ伏したシスターの姿があった。

「……か、勝ったぁ……！」

　へなへなと座り込む。相手が魔術師で助かった。
　結晶弾は相手の力そのものを『光の具現体』として投影しているものだ。そしてレーザーとは光を人工的に集合させて可視化したもの。俺の魔剣は魔力を喰う他に、『光を吸収する』力も備わっている。常にその力は発動しているので、鞘から抜くとその刀身は大きくなるのだ。
　アビリティ『魔剣ホーリィブレイド』。このアビリティはそんな魔剣の能力を最大限に引き出した大技だ。故にそんなバンバカ叩き込めないし、今がその時ではないと今まで渋っていたのだ。

「さてと……。奥に進めばいいんだよな」
「お待ちさない、魔剣士さま……」

　ゆっくりと起き上がるシスター、スフィアが俺を呼び止める。

「……ここから先は、危険です。それでも進むのですか……？」
「そりゃあ、向こうで夢乃が戦ってるんだからな。俺が行かないわけにもいかないだろ」
「左様ですか……。
　決闘の報酬です。治療致しますので、しばらくお待ちなさい……」

　よろめきながらもスフィアは俺の元まで近づいてきて、治療魔術を施す。